不安になる原因

一般的に誰でも感じる不安は、睡眠・運動不足などの生活環境の乱れ、その人の性格、家庭環境、不安をあおる情報に接することなどによって、程度も異なります。

ただし、「不安で他のことが何も手につかない」といったような過剰な不安を抱く場合は、以下のような原因も考えられます。

不安症/不安障害


不安を主な症状とする病気の総称で、主に以下のような病気があります。

限局性恐怖症
特定の対象や状況に対して強い不安や恐怖を感じる状態です。

対象や状況には高所や嵐、水などの自然環境、動物や血液、注射などの医療処置、閉所などの状況があります。

パニック症/パニック障害
突然、理由もなく強い不安に襲われ、動悸や呼吸困難、めまいや発汗などの身体症状をともなう「パニック発作」が繰り返し起こるため、外出を避けるなど日常生活に支障が出ている状態のことです。

限局性恐怖症では特定の対象や状況に対して不安や恐怖を感じるのに対し、パニック症/パニック障害では理由なく突然パニック発作が起こります。

社交不安症/社交不安障害(社交恐怖)
一般に「対人恐怖症」と呼ばれる状態で、人前で話をしたり食事したりする際に、うまく振る舞えなかったり恥をかいたりすることを極度に恐れます。

全般不安症/全般性不安障害
仕事や勉強、家族や生活環境などの複数の対象に、過度な心配や不安を抱く状態が長期間続きます。

病気の症状や物質の作用による不安症/不安障害
甲状腺機能亢進症などの身体疾患の症状や、カフェインや違法薬物の中毒、鎮静剤や睡眠薬などからの離脱症状として不安が現れる場合もあります。

強迫症/強迫性障害


「強迫観念」や「強迫行為」がある状態です。

強迫観念とは、不安をともなうある考えが常に浮かび、消そうと思っても消すことができない状態です。

例えば排泄物やウイルスなどへの恐れや、物が所定の位置にないと不安になる場合などが挙げられます。

強迫観念からくる不安を和らげるために繰り返してしまう行為が「強迫行為」で、長時間手洗いをしたり、物を順番に並べるなどがあります。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)


自然災害や事故、暴力や犯罪の被害など、強い精神的ストレスや深い苦痛などを引き起こす出来事や状況が心の傷となり、時間が経ってもその経験に対し強い不安や恐怖を感じる状態です。

うつ病や適応障害


うつ病
不安や憂うつ、気分の落ち込み、やる気が出ないなどの症状が一定期間続く状態で、不安症/不安障害を合併している場合もあります。

適応障害
ストレスが原因となり、不安や気分の落ち込み、やる気が出ない状態などの症状のために日常生活に支障をきたしている状態です。

うつ病との違いは、適応障害ではストレスの要因がなくなると症状が改善することが多いのに対し、うつ病では症状が続く点です。

不安になる場合の対処法や治療法

心配事があったり、大事な出来事の前や初対面の人に会うときなどに不安になることは誰にでもあります。

また、疲れが溜まっていたりすると考え方が悲観的になり、不安を抱きやすくなります。

そういった場合は、深呼吸を繰り返して気持ちを落ち着けたり、休息を取ってみましょう。

しかし、不安の度合いが過剰ではないかと思われたり、不安が長期間続いたり、理由もないのに不安を感じるような場合には何らかの病気の症状である可能性もあるため、精神科や心療内科を受診すると良いでしょう。

過剰な不安の治療法


抗不安薬や抗うつ薬などを用いた薬物療法により、不安を和らげます。

また、物事の見方をバランスの良い見方へと変えていく「認知行動療法」などの精神療法を行うことで、不安になる状況にうまく対処できるようになることを目指します。