鼓膜損傷の症状

鼓膜損傷の症状は損傷の穴の大きさによって様々ですが、一般的に現れる症状としては難聴や耳垂れなどが挙げられます。難聴は、鼓膜の穴によって音を受け止め増幅する部分の面積が減少したことや、鼓膜を通って伝わった音と、穴をすり抜けて伝わった音との間で時差や感覚差が生じることなどによって起こります。
  
耳垂れとは、本来無菌状態であるはずの中耳の粘膜に、損傷により出来た穴を通じて入り込んだ病原体が侵入し炎症することによって見られる症状です。その他にも耳が詰まったような感覚や鼓膜からの出血などが見られる場合もあります。
  
また、耳小骨の骨折などを併発した場合、内耳にも異常をきたし、めまい、耳鳴りといった障害が起こることもあるので注意が必要です。

鼓膜損傷の原因

鼓膜損傷の原因には、外耳に関係するものと内耳に関係するものの二通りが考えられます。
  
外耳に関係する要因のうち、大半が耳かきによる損傷です。耳掃除のし過ぎや、耳掃除中の衝突による耳突きなどによって鼓膜を傷つけてしまう事故が鼓膜損傷の30%を占めます。耳突きによる損傷は、鼓膜だけでなく耳小骨まで到達してしまうケースもあるため注意が必要です。

耳かきに次いで多い要因が、平手打ちなど外部からの衝撃によるものです。スポーツの最中、ボールがぶつかるなどの事故が原因のものも多く見られます。また、飛行機に乗ったときなど急激な気圧の変化が起こった際に、その変化に耐えきれずに鼓膜が破れてしまう場合もあります。

内耳に関連する要因としては、中耳炎によるものが大部分を占めます。この場合はウイルスが耳管を通じて鼻の奥から中耳へ炎症が到達し、膿が溜まってしまうことによって損傷が起こります。

鼓膜損傷の治療法

鼓膜損傷のほとんどは、外部からの圧力によるものであるため、予防というよりは日常生活の中で衝撃に対する注意を払うことが大切になります。例えば、耳かきの最中に人がぶつかってこないように周囲に気を配る、耳かきは一定期間の間をあけて行う、鼻は両方ではなく片方ずつ塞いでかむ、耳に強い衝撃が加わらないよう注意する、などが挙げられます。

内耳に関連した要因の大部分を占める中耳炎は、風邪が原因でかかることがほとんどです。そのため、風邪にかからないような対策を怠らないことが間接的に鼓膜損傷の予防へとつながります。また、小さい子供の場合は、溜まった鼻水をこまめに取り除いてあげることが大切です。