ガラクトース血症の症状

ガラクトース血症は、乳児期から、哺乳力低下、下痢、嘔吐、体重増加不良などの症状がでます。
  
これらの症状が長期的に続くのが特徴で、適切な治療を行わないと死に至るケースもあります。ガラクトース量の上昇により引き起こされる症状は、肝硬変、腎不全、白内障などがあります。放置すると感染時などに敗血症や髄膜炎などを発症する深刻な病気です。
  
ガラクトース血症には3つの種類があります。
・I型
ガラクトース血症のうち、最も重度の症状を見せるのがI型です。早期に治療を開始しても発声障害や学習障害、神経系の損傷、女児であれば卵巣障害などの合併症を伴うケースもあります。
生後2週間以内に哺乳力の低下が見られるようになり、嘔吐や下痢を認めます。栄養が充分にとられないため、体重も正常な増加をしません。進行すると白内障や敗血症、髄膜炎などを合併するようになり、死に至ることも少なくありません。生存しても、知能障害や発達障害を残すことがあります。日本では非常に稀で92万人に1人が発症します。
  
・II型
II型のガラクトース血症では、症状は目の白内障のみです。日本での発症頻度は、100万人に1人程度です。
  
・III型
III型のガラクトース血症では、基本的に症状は何もありません。日本での発症頻度は5万人に1人程度で、最もよく見られるタイプです。

ガラクトース血症の原因

ガラクトース血症はガラクトースの代謝に用いられる酵素が先天的に欠損していることで起こる病気です。

ガラクトースは乳糖の一種で、多くの哺乳類の母乳に含まれる成分です。人間の母乳も例外ではありません。
ラクトースは、グルコースとガラクトースに分解されます。さらにガラクトースは3酵素の働きによってグルコースになりますが、この3酵素のどれかが欠損していても、ガラクトースが分解されず、体内に蓄積します。この代謝の過程に異常があり、ガラクトースが正常に分解されないのがガラクトース血症の原因です。体内に溜まったガラクトースは、身体にダメージを与えさまざまな合併症を引き起こします。

・I型
ガラクトースを分解するための肝臓の酵素「トランスフェレース」の欠損が原因で、尿中に大量のガラクトースが排出されます。血液中のガラクトース値とガラクトース1リン酸の量が増加します。
  
・II型
血液中のガラクトース値が上昇することによって引き起こされます。ガラクトース1リン酸の値は正常です。
  
・III型
赤血球にある酵素「エピメレース」の欠損によって血液中のガラクトース1リン酸の値が上昇します。ガラクトース値は正常です。

ガラクトース血症の予防/治療法

ガラクトース血症は、先天的な疾患のため予防することが困難な病気です。ガラクトースの代謝に必要な酵素の欠損は、遺伝的疾患であると考えられています。
  
新生児の成長に大きな影響が出るため、ガラクトース血症が疑われる場合には速やかに小児内分泌科を受診する必要があります。ガラクトース血症と診断された場合、I型およびII型については、食事からガラクトースを除外することが基本です。母乳をやめ、無乳糖乳や大豆乳を使うようにすると良いです。離乳食についても、成分表示によく注目し、乳糖を除去する必要があります。同時に、水分の摂取量を逐一チェックしなければなりません。体重測定や口の中の保水状態の確認も並行して行います。また乳児期を過ぎても、生涯にわたり乳糖を除去した食事を続ける必要があります。

この病気は先天的な体質ですので、食事面でのケアは一生続ける必要があります。III型の場合は赤血球以外に異常がないため、特別な治療は必要ありません。定期的に医師に経過観察をしてもらいます。