舌の基本的な仕組み


舌を動かす筋肉

舌の本体は内舌筋という筋肉でできており、あごの骨や頭蓋骨に外舌筋という筋肉で吊り下げられています。


舌を動かす神経

舌の感覚、味覚を司る神経は脳神経の一部ですが、舌の前のほう2/3と後ろ1/3では味覚を脳に伝える神経が異なります。


乳頭とリンパ組織

舌の前2/3には乳頭と言われる粒・ひだ状の構造があり、ネコでは乳頭が発達しているため舌がざらざらしており、乳頭をうまく使って水を飲みます。舌の後ろ1/3にはリンパ組織があります。


味蕾

舌の表面や上あごの奥(軟口蓋)には、味蕾(みらい)という小さい器官が存在し、そこに食物中の化学物質が結合して神経信号を発することで脳に味の情報が伝わります。

舌の部位で感じる味が違うってホント?


舌の部位により、味蕾や舌乳頭の分布に違いはありますが、どの味蕾もどんな味にも反応します。

以前は「舌の特定の部位は特定の味覚を感じるのに特化している」とされ、味覚分布地図というものがあるとされていました。ワイングラスやコーヒーカップの形を変えると、舌のどの部位に当たりやすいかが変わり、味が変わるとも言われていました。

しかしこれは現在は否定されており、部位によって味の感じやすさは違うものの、基本的にどこの部位でも味は感じられると言われています。

舌の色の異常


白いものが付いている

カンジダというカビの繁殖が考えられます。軽くこするだけで取れますが、その下が赤くなっていたりただれていたりします。風邪をひいたりして体力・抵抗力が落ちている場合や、免疫力を低下させる薬・抗生物質を飲んでいる場合に多く見られます。抗カビ作用のあるうがい薬で対応します。

黒毛舌

表面が黒くなり、口臭がします。抗生物質やステロイドを長期に飲み続けることで口腔内の細菌の状態が変わり、カンジダや雑菌が増えることや、加齢などにより唾液が減ること、タバコやコーヒーの取り過ぎなどが原因と言われています。


黒い斑点

ほくろと同様の問題のないメラニン沈着や、噛んでしまったことによる血豆が多いですが、ごくごくまれに悪性腫瘍(がん)のことがあります。舌がん、悪性黒色腫、副腎がんが考えられます。


地図状

表面に赤白のまだらな模様が出る状態です。妊婦や小児に多いと言われています。多少しみたりひりひりすることがあります。免疫力低下、栄養不足、ホルモン状態の変化などが原因と考えられています。

舌の形、動きの異常


筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの筋肉が痩せていく病気では、舌の筋肉が萎縮し、クローバー舌と呼ばれる、舌の側面の一部がくぼんだような状態になることがあります。

舌を動かす神経は舌下神経と呼ばれますが、舌の右側と左側は、それぞれ右の舌下神経と左の舌下神経が別々に動かしています。そのため片方の舌下神経が麻痺すると、舌をまっすぐ前に出すつもりでも、どちらか一方に偏って出てしまいます。

アメリカのテレビ番組「ER」では、この舌をまっすぐに出せないという症状から主人公の医師の脳腫瘍が発覚するシーンがありました。

舌の表面に溝やしわができる溝状舌では、しわに汚れが溜まりやすく、炎症を起こすことがあります。生まれつきの場合が多いとされています。

舌苔の異常


舌苔は舌の表面の白いもので、カンジダとは異なり、こすっただけでは取れません。食べかすや粘膜の古くなったもの、細菌が付着したものと言われており、あっても異常ではありませんが、多すぎると口臭の原因となったり、免疫力低下や胃腸の病気を反映していることがあるとされています。

ブラシで取り過ぎるとかえって舌を傷つけ、味蕾や乳頭の減少にもつながりますので、うがい程度にしておいたほうがいいでしょう。

舌の味覚の異常


亜鉛やビタミンが不足すると、細胞分裂が盛んな味蕾は萎縮し、味を感じにくくなります。また舌や口の中の粘膜も消化器官の一部であり、食生活や疲れから胃腸の不調があるときは荒れやすくなります。熱いものや辛いもの、アルコールの取り過ぎも粘膜を傷つけます。

食物と唾液が混ぜ合わされることで味蕾と触れ合いやすくなるため、加齢や疲れ・口の細菌繁殖やシェーグレン症候群などの病気から唾液の分泌量が減ると、味が分かりにくくなります。

舌の感覚の異常


舌にも口内炎ができることがあり、舌の横側のふちや舌の裏にできやすく、強い痛みがあります。

ビタミン不足や疲れが原因でできることが多いですが、治りにくく多発する場合はベーチェット病などの病気が隠れていることもあります。

最後に医師から一言


舌の異常に気付かれたら、口腔外科・耳鼻咽喉科でご相談ください。

(監修:Doctors Me 医師)