どうして熱中症で下痢になる?


熱中症の原因


人間は汗によって上がりすぎた体温を調整しています。
夏場の暑いときに、体温が上がり汗をかくことで体内のミネラル(塩分、カリウム、マグネシウムなど)が体外に大量に流れ出て、熱中症を発症します。

熱中症の下痢の原因


■ 水分の排出
熱中症になってしまい、水だけを飲み、塩分やミネラルを補給しないと、体内のミネラル濃度を保つために水を排出しようとする働きが起こります。
そのために下痢を発症してしまうのです。

■ 腸が水分を再吸収しきれない
体温を下げようとして冷たい飲み物を大量に飲むと、腸が水分を再吸収しきれず下痢になります。

■ 臓器の機能の低下
熱中症では汗によって体内の血液量が減ってしまい、腸を含む臓器への血流量が減ることで、臓器の機能が低下することも下痢の原因と考えられます。

熱中症になりやすい場面


激しい運動


人間の体は、汗を出して体温を下げようと試みますが、激しい運動中は体温の上昇が激しいためその作用が追いつきません。

曇り・雨の日


晴れた暑い日が多いと思われがちですが、くもりや雨の日でも熱中症になりやすいです。 
気温自体は多少低いですが、湿度が高いことがあります。

湿度の高い日は、汗が蒸発せず体温が体内にこもりっぱなしになってしまい、熱中症になりやすくなります。

夜間


高齢者の方が夜間寝ていて、熱中症を引き起こすことが多くあります。

高齢者の場合、昔に作られた風通しの良くない家に住んでいる、また冷房をつける習慣がないため、湿度と温度が高くなってしまいます。

そのため、寝ている夜間に熱中症を引き起こすことがあります。

夜間の室温調整を行い、寝る前にコップ一杯の水を飲むとよいでしょう。

車内


車内では熱がこもりやすく気温が高くなりやすいため熱中症になりやすくなります。

冬のエアコン


冬にエアコンをかけすぎて、乾燥してしまい汗をかきすぎて脱水になり、熱中症になることもあります。

熱中症になりやすい人


脱水している、体力が低下している方


風邪、胃腸炎などの病気で体力が低下してしまっている場合や、アルコールにより脱水気味の方も熱中症になりやすくなります。

持病がある人


知的障害や精神疾患の持病がある方は、熱中症の症状を自覚しにくかったり、訴えることのできないことがあります。
そのため、持病がある方は注意が必要です。

高齢者


高齢者の方は成人と比べると身体の中の水分が5~10%も少なく、感覚が鈍ってしまいのどの渇きに気がつかず水分補給を怠ってしまいます。
また、トイレが近くなることを嫌がり、水分摂取を控えてしまう傾向があります。

そのため、熱中症になる場合があります。

熱中症による下痢の対処法


熱中症の下痢の対処法は以下の通りです。
熱中症の下痢と感じたらすぐに処置をしましょう。

■ ミネラルを含む常温の水分を補給する
■ 普段から食事・睡眠を取り、体力をつけておく
■ 消化の良いものをよく噛んでゆっくり食べ、胃腸に負担をかけない

熱中症の応急処置


■ ステップ1
日光の当たらないところに横にする。

■ ステップ2
衣服をゆるめて、本人の意識の状態を確認する

■ ステップ3
首の横側・脇の下・足の付け根・膝の裏など、大きな血管が体表近くを通っている部分を保冷材などで冷やして体温の上昇を防ぐ

■ ステップ4
作業内容や天候に応じて休憩を取る
(嘔吐がある場合は、横向きに寝かせて気道を確保する)

■ ステップ5
意識があり、本人自身で水分がとれるようならスポーツドリンクなどを飲ませる。

■ ステップ6
意識がもうろうとしている場合は、すぐ救急車を呼ぶ

熱中症による下痢の時に効果的な食事





    <食べ物>


  • 塩飴

  • 梅干し

  • 果物(バナナ、りんご、缶詰の果物など)

  • うどん

  • おかゆ

  • 半熟卵など消化のよいもの

  • おかゆ

  • 乳酸菌、オリゴ糖など腸内環境を整えられるもの(ヨーグルト、納豆、漬物、きな粉など)

  • <飲み物>



    • 経口補水液

    • スポーツドリンク

    • 麦茶



熱中症による下痢の時に避ける食事





    <食べ物>


  • 油モノなど消化の悪いもの

  • 食物繊維の多い硬い野菜(ごぼう、生野菜など)

  • 辛いもの

  • <飲み物>



    • 氷水やビールなど冷たい飲み物

    • カフェインの入った飲み物



その下痢本当に熱中症が原因?


食中毒


夏場は食べ物が傷みやすく一般に食中毒が起こりやすい季節です。

■ 腸炎ビブリオ食中毒
腸炎ビブリオ食中毒とは、多くの日本人が感染するものと知られており、梅雨の時期から患者数が増える傾向にあります。

また、海水温度が高くなると食中毒の原因菌が増殖するため、夏場に魚介類を食べた後に腹痛下痢・嘔吐を引き起こします。

これは腐食によって起こるわけではないため、購入後すぐに食べても症状が起こる場合があります。

冷えや暑さによる体力消耗


夏場は冷房による冷えや暑さによる体力消耗から自律神経が乱れ、下痢になりやすい場合もあります。

その他の原因


水分とミネラルを補給しても改善しない場合や、下痢と便秘を繰り返す場合、血便がある場合などは早めに消化器内科を受診しましょう。

医師からの一言


熱中症は、室内や車の中でも発症することがありますし、気温が高くなくても湿度が高かったり風通しが悪い場合も発症することがありますので注意が必要です。

(監修:Doctors Me 医師)