運動のし過ぎや骨の病気によって、足の付け根に痛みが出ることがあります。
違和感を感じた場合、事前にどのような病気が疑われるのか症状を知っていると安心だと思います。
今回は、足の付け根の痛みの原因と対処法、病院の受診科目の判断基準などを医師に解説していただきました。
原因
股関節、骨の病気
以下の病気により、関節の軟骨が減り、骨が変形します。若い方でもなることがあります。
・骨折
・感染症
・リウマチ
・生まれつきの病気(先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全)
・痛風
・ステロイド薬などによる大腿骨頭壊死
など
■ 主な症状
・足の付け根(前、横、後ろ)がだるく感じ、疲れやすく、運動すると悪化します。
・太ももやお尻まで痛くなることもあります。
・歩き方が左右非対称になり、筋肉の力が落ちてやせていきます。
■ 対処法
・体重を減らす
・杖を使う
・歩かなくて済むように生活スタイルを変え、股関節にかかる負担を減らす
・手術
坐骨神経痛
坐骨神経は腰の骨の間から出ているため、腰椎椎間板ヘルニアなど背骨の病気を伴うことがあります。
■ 主な症状
腰からお尻、太ももの裏側にかけてじんじんした痛みやしびれが出て、動かすと悪化します。
■ 対処法
・痛み止めの内服
・ブロック注射
・手術、リハビリ
など
グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)
運動による足の使い過ぎによるものです。サッカーのように、片足に重心をかけてもう片足で蹴るような動作によって、股関節周りの筋肉に無理が生じます。
■ 主な症状
足の付け根の前側や内もも、睾丸の後ろに痛みが生じます。
■ 対処法
リハビリを行います。
鼠径(そけい)ヘルニア
内臓の痛みがでるもので、腸が足の付け根にはまり込む鼠径ヘルニアがあります。
■ 主な症状
太ももの付け根の前側にぽこっと盛り上がりができます。
■ 対処法
手術で治します。
妊娠・女性器関係
妊娠後期に骨や靭帯を緩ませるホルモンが出ることや、重くなった子宮による負担、子宮を固定する靭帯の突っ張りや、卵巣・子宮周辺の何らかの変化を反映しているものと思われます。
しかし、具体的に何が痛みを起こしているのかは不明です。
■ 主な症状
・恥骨や股関節の痛みが起こることがあります。
・出産によるダメージで産後にも痛みが残ることがあります。
・月経前後や妊娠初期、もしくは妊娠中を通して、足の付け根の奥の方にチクチクする痛みを感じる方がおられます。
■ 対処法
骨盤ベルトなどで骨盤周囲を固定し、足を組む・お尻を半分浮かせて座るなど不安定な姿勢をしないようにします。
治療法
受診科目
■ 整形外科
・症状:足を動かしたり、体重をかけると痛みが強くなり、休むとましになる
・疑われる病気:骨、関節、筋肉、神経の病気
■ 外科
・症状:太ももの付け根前面に盛り上がりがある
・疑われる病気:鼠径ヘルニア
■ 産科・整骨院
妊娠中の痛みについては、産科担当医の許可を得られたら、妊婦の治療を得意としている整骨院での施術を受けたり、マタニティスイミングをして股関節にかかる負担を減らすのも良いでしょう。
検査内容
整形外科ではレントゲンやCT、MRIを行います。また足を曲げ伸ばしした際に痛みがどう変化するかや、しびれの位置を調べます。
予防法
準備運動
運動をするときは、股関節だけを動かすのではなく、上半身・体幹・下半身を強調させて動かせるよう、準備運動を行います。
ケガをしたら無理に動かない
どこか一カ所でもバランスが崩れると、他の部位に負担が偏りがちなので、足首を捻挫したというような場合にも無理にプレイを続けるのは控えましょう。
整形外科で股関節のチェックを行う
靴の片一方だけが減る場合、知らない間にどちらかの股関節にだけ負担がかかっている場合があります。若いころには無理が効いても、中高年になって関節がすり減り、歩きにくくなることもあります。
整形外科で股関節に異常がないかチェックを受けましょう。
最後に医師から一言
体を非対称に使うようなスポーツをよくする場合、片方の股関節に強い負担がかかっていることがあります。
スポーツ整形に強いかかりつけ医を見つけておき、異常を感じたら早めに相談するようにしましょう。
(監修:Doctors Me 医師)