厚生労働省は2018年1月26日、インフルエンザの患者数が統計・調査を開始した1999年以来最多になったと発表しました。
ほとんどの都道府県で「警報レベル」となっており、学級閉鎖も相次ぎ、特にお子さんをお持ちの共働き夫婦は頭を悩ませていることと思います。
そこで、Doctors Me編集部では、「インフルエンザにかかってしまった」前提で、知っておきたいこと、感染を広げないためにできることについて、医師に解説していただきました。
目次
乳幼児、児童・生徒のインフルエンザの発熱期間と出席開始日は?
学校保健安全法では、集団生活の場で感染症が広がることを防ぐために、ウイルス排出が多いと思われる時期の登校を制限しています。
インフルエンザに罹患した場合、発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過し健康が回復すれば外出の自粛を終了することが可能であると考えられており、保育園・幼稚園から大学までに通う人について、上記期間を出席停止としています。
従来は「解熱後2日を経過するまで」とされていましたが、抗インフルエンザウイルス薬が普及し、発熱が従来より早くおさまる場合が出てきたのですが、それでもウイルス排出は続いているため、解熱のみを目安にしないよう、平成24年に一部改正が行われました。
熱は計測条件によって変化するものですし、一日の中でも波があります。解熱とは、解熱剤を使用せず、一日のどの時点でも37.5℃を切るようになった状態と考えられます。
また、一旦解熱して再度熱が上がるケースについては、一日の中での変動や計測条件のブレである場合もあれば、新しい風邪にかかった・別の原因で発熱したという場合もあるでしょう。
いずれにせよ、「はじめの熱はインフルエンザだけど、この熱は違う原因だから登校していい」というわけではありませんから、登校許可は原因に関係なく解熱後の日数を数えるべきと考えます。
インフルエンザの出席停止期間の早見表
◎幼稚園児、保育園児の場合
◎小学生~大学生の場合
登園・登校には許可証や診断書は必要?
治癒証明書を保育園や学校、会社から要求される場合もあるようですが、医学的に「この人はもう他人に感染させることはない」と100%太鼓判を押すことはできないため、必須かと言えばそうではないとお答えしたいです。
既定の休業日数を守っているのであれば、それに加えて医療機関を受診し証明書を交付してもらうのは患者や家族にとって負担であり、また医療機関にとっても、患者が増えすぎて負担になってしまいます。
参考までに、沖縄県ではインフルエンザの治癒証明書を生徒に対して求めないよう、県から教育委員会に向けて通達を出しています。
時間差で家族が感染したときはどうする?
次に、家庭内の二次感染にも注意したいところです。
持病があったり、免疫力を弱くするような薬を普段から飲んでいるような人の場合は、家族内にインフルエンザ患者が出た場合に、予防内服として抗インフルエンザ薬を発症前から使用することもあります。この場合、健康保険は適応されず自費診療となります。
ただ、そういった特別な注意を要する人でなければ、家族内にインフルエンザ患者が出た場合、発熱などの症状が現れないか2~3日様子を見て、症状が出れば抗インフルエンザ薬の使用を検討すればよく、必ずしも検査を受けなければならない・予防内服をしなければならないということはありません。
また、感染が疑われる場合に迅速検査を受けるという選択肢もありますが、検査結果で陰性と出た場合にもインフルエンザの可能性はあるので要注意です。
キットの感度は改善しており、従来言われていたように「症状出現後12時間以降でないと陽性にならない」とは限らず、発症後短時間でも陽性が出やすい検査キットもあるのですが、やはり100%正しいとは言えないでしょう。
家庭内、外出先での感染予防策は?
予防策として、外出先から帰ったらまず流水と石鹸で手洗いをし、うがいをします。人ごみに出かける際にはマスクを着用し、不用意に目や鼻を触らず、手づかみでものを食べないようにしてください。
自分が咳・くしゃみをする場合には、咳エチケットを守りましょう。ハンカチで口を押さえるか、服の袖や襟元で口を押さえるのがポイントです。
手洗いやマスク着用ができない乳幼児は、アルコール含有のウエットティッシュで手を拭いたり、人ごみではベビーカーにおおいをかけたりして予防しましょう。うがいができなくても、飲み物を飲むだけでも口の中のウイルスを胃に落とすことができます。
また、子どもだけの話ではありませんが、十分な休養、温かい服装、バランスのとれた食事で免疫力を高めておくことが重要です。
最後に医師から一言
インフルエンザの流行が拡大していますが、この時期はインフルエンザのみならず、風邪にもノロウイルスにも注意が必要です。
周囲に感染を広げないためにも、体調が悪いときにはインフルエンザか否かにこだわるよりも、早めに休むようにしましょう。
(監修:Doctors Me医師)