この時期になると流行するのがインフルエンザです。例年予防接種を受けている方も多いと思いますが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、少し状況が異なります。

 

この記事では、今年のインフルエンザの動向や予防接種の対応、新型コロナとの関連など気になるポイントを見ていきます。

 

目次

 

コロナ禍におけるインフルエンザ動向

インフルエンザは、以下の基準で感染が確認されます。

 

突然の発症・高熱・上気道炎症状・全身倦怠感等の全身症状を全て満たすか、症状を全て満たさなくても迅速診断キットにより病原体の抗原が検出され、インフルエンザ患者と診断した場合

出典:東京都感染症情報センター

 

厚生労働省の発表によると、9月27日までに確認されたインフルエンザの発症者は約20名ほど。昨年の同時期には1週間で4543人が発症しており、今年は患者数が大幅に減っています。

 

その理由として挙げられるのが、新型コロナウイルス感染症対策です。新型コロナもインフルエンザも同じ感染症であり、マスクの着用やうがい手洗い、消毒などの予防策がそのままインフルエンザを防ぐことにつながっていると考えられています。

 

しかしながら、(年度によっても異なるものの)インフルエンザは例年11月~1月上旬くらいに流行が訪れやすい傾向があり、引き続き警戒は必要です。

 

厚生労働省「インフルエンザに関する報道発表資料 2020/2021シーズン」

 

 

新型コロナとインフルエンザの同時流行リスク

 

新型コロナウイルス感染症の流行

 

インフルエンザが流行する寒い時期には、新型コロナの患者も増加する可能性が指摘されています。そこで問題になるのが、この2つの感染症は症状が似ており、区別するのが難しいということです。

 

新型コロナの重症化リスクはインフルエンザよりも高いため、鑑別が重要です。

 

とはいえ、新型コロナの検査を十分に行うことができない医療機関もあります。また、インフルエンザの患者が増加するとその対応で手いっぱいになってしまい、本来であれば優先して診るべき新型コロナの患者対応が後回しになってしまう可能性があります。

  

さらに、新型コロナとインフルエンザに同時(重複)感染することで、重症化することもあるのではないかという意見もあります。

 

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ワクチン接種、予約してないけど大丈夫?数は足りる?

インフルエンザワクチン接種

 

新型コロナとの同時流行を危惧する声などもあり、今年は例年以上にインフルエンザ予防接種の需要が高まる可能性があります。

 

それに備えて、厚労省は過去5年で最大量(最大約6300万人分)のワクチンを供給予定と発表しています。重症化リスクが高いとされる高齢者(65歳以上)3600万人に行き渡る十分な量であり、厚労省は「大幅に不足することは考えにくい」としています。

 

一方で、ワクチンは都度供給されるため、予防接種が開始された初期には一時的な不足に陥る可能性もあります。

 

重症化リスクが高い高齢者や基礎疾患がある人は早い時期に予防接種を受けることが推奨されています。最寄りの医療機関とも相談し、早めに接種の予約をするといいでしょう。

 

 

ワクチン接種、早めに受けたほうがいい人は?

ワクチンは重症化リスクの高い人に

 

国や厚労省は「65歳以上の方」のワクチン接種を優先しており、10月の早期から接種を勧告しています。高齢者はそもそもインフルエンザの重症化リスクがあり、そこに新型コロナの重複感染などの事情が重なるとさらなる悪化が懸念されるためです。

 

それに次いで優先的な接種を推奨する対象として「医療従事者」「65歳未満の基礎疾患を有する人」「妊婦」「乳幼児から小学校低学年(小学校2年生)」が挙げられています。

 

ご自身や家族などが上記に該当する場合、早めに最寄りの医療機関で予防接種の予約について相談されることをおすすめします。

 

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ワクチン接種とともにインフルエンザ予防でできること

ワクチンは重症化の予防に寄与すると言われていますが、感染を完全に防げるわけではなく、日常生活での予防対策も重要です。

 

・手洗い、消毒、マスク

・不要不急の外出や人混みを避ける

・なるべく暖かくし、極度のストレスを避けるなどを行い、体調管理に注意する

・生姜などの暖める作用のある食べ物を適度に摂取する

・(喫煙されている方は)禁煙する

 

などの対策を講じることでインフルエンザの予防効果が高まります。これらはそのまま新型コロナの予防対策にもなります。

 

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インフルエンザの予防法

 

まとめ

新型コロナとインフルエンザの同時流行という事態はこれまでに起きたことがなく、なかなか予測しにくい面があります。

 

引き続き、新型コロナ予防(手洗い、ソーシャルディスタンスなど)を徹底しながら、インフルエンザの流行に備えて最寄りの医療機関などで予防接種やその予約についてご相談されるのがよいでしょう。

 

厚生労働省「季節性インフルエンザワクチン接種時期ご協力のお願い」