橋本病/慢性甲状腺炎の症状

橋本病であっても、甲状腺ホルモンを作る機能が正常に働いていれば、特に治療が必要とされる症状は現れません。但し甲状腺は大きくなり、触ると固さを感じます。甲状腺が腫れる病気には他にバセドウ病があり、区別をつける必要がありますが、一般にバセドウ病の場合よりも固くゴツゴツ感が強くなっています。

炎症が進み甲状腺機能が低下してくるとむくみや体重の増加、記憶力の低下、低体温、月経過多、便秘、貧血、無気力、血中コレステロール値の上昇、性欲低下、不妊といった症状が現れてくるため、甲状腺ホルモン剤の内服を開始します。多くの症例で内服は一生涯続きますが、まれなケースながら甲状腺機能が回復する場合もあり、一概にはいえないとされています。

橋本病/慢性甲状腺炎の原因

橋本病の原因は、自己免疫の異常です。通常炎症というと、細菌など外的な要因で起こるものがイメージされますが、慢性甲状腺炎の場合は自分で作り出した甲状腺組織に対する「抗体」の攻撃が炎症の原因です。甲状腺の細胞は抗体の攻撃を受けて、少しずつ減少していきますが、急激に甲状腺機能の低下が起こるようなことはなく、非常にゆっくりとしたペースで進行します。自己免疫疾患はなぜか女性に多いとされています。
ただし出産後や肝炎等に対するインターフェロン療法後、無痛性甲状腺炎(慢性甲状腺炎を持っているとかかりやすい)罹患後は甲状腺機能が低下することがあります。また海藻の食べ過ぎやイソジンの使用などヨードの摂り過ぎは甲状腺の機能を低下させる原因となる可能性があるため、注意が必要です。

橋本病/慢性甲状腺炎の治療法

橋本病では、
・甲状腺機能の検査
・甲状腺に対する抗体の検査
・エコー
・一般生化学検査
を定期的に行ない、症状と合わせて甲状腺ホルモン薬の内服を行うかどうかを診断します。
  
甲状腺が腫れて大きさが増していても、食べ物の飲み込みや呼吸に影響することはなく、他に問題がなければ特に治療は必要ありません。甲状腺ホルモン薬の内服を開始してからも、特に行動や食事の制限は、ヨードの摂り過ぎや禁煙の推奨以外は生じませんが、毎日欠かさずに内服を続ける必要があります。甲状腺ホルモン薬は副作用もなく、妊娠中や授乳中も飲み続けることができます。