うがいには二種類の方法があることをご存知ですか?

 

「手洗い・うがい」などでも用いられる「ガラガラ」と上を向いて行う一般的な喉のうがいの他に、口のうがいも実は大切なのです。

 

今回はこの「口うがい」について、歯科医師の彦坂実な美先生に口腔内の清潔を保つ必要性と、上手な口うがいの方法について解説していただきました。

 

 

目次

 

うがいって何のために必要なの?

うがいする子供 

うがいとは、口腔内や喉にいる細菌を洗い流し、感染を防ぐためのものです。うがいをすることで、細菌の体内への侵入を大幅にカットすることができます。

 

また、うがいは口内を潤いのある状態を保つためにも役立ちます。口内の粘膜が乾燥していると細菌が繁殖しやすくなり、感染につながるおそれもあるため、口内が乾燥しやすい方はこまめにうがいをすることをオススメします。

 

 

二種類のうがい、違いはどこにあるの?

うがいには一般によく知られている喉うがいの他に口うがいがあり、やり方や効果が違います。とても簡単なので両方マスターしましょう。 

 

喉のうがい

口に水を30mL程度ふくみ、天井を向いてガラガラと音を立てて喉の奥を洗い、その後水を吐き出します。

 

喉の奥の粘膜に溜まっていた細菌を洗い流し感染を予防する効果があります。

 

 

口のうがい

口に水を30ml程度ふくみ、歯に強く水を当てるような形でゆすぎます。

 

口腔内で繁殖した細菌を洗い流すだけでなく、頰や、口腔周囲の筋肉を刺激することでアンチエイジング効果も期待できます。

 

 

口の中の細菌がふえるタイミングは?

口を開ける女性 

口腔内の細菌が増えるタイミングは、睡眠時など口の中が乾燥状態にあるときです。

 

また、口の中の細菌がエサとするのは、食物からのショ糖(砂糖)であるため、歯磨きを行わないままの状態が続くと口腔内プラーク(歯垢)の増殖につながります。歯にものが挟まったままの状態も口の中の細菌の増殖に繋がるため、口うがいと合わせて歯間ブラシやフロス等、歯と歯の間のケアも行うことが理想的です。

 

睡眠時はとくに唾液の分泌が減るため、細菌が爆発的に増えてしまいます。そのため、歯を磨かないまま寝ることは避けましょう。朝起きて水を飲む前に、口うがいと喉のうがいをして夜中のうちに繁殖した細菌を洗い流してから水を飲むようにするとよいでしょう。

 

 

口の中が汚いとどんな影響がある? 

虫歯に悩む男性

 

口の中の衛生状態が悪いと、全身のさまざまな疾患を引き起こす可能性やリスクが高まります。

 

たとえば、口腔内の細菌が増殖するとむし歯や歯周病を引き起こすだけでなく、 糖尿病認知症心疾患脳梗塞のリスクが高くなります。

 

口腔内の細菌や歯周病と全身の疾患は密接な関係を持っているため、全身の健康の面からも口の中を清潔に保つ必要があります。

 

 

上手な口うがいの方法は?

口うがいする男性

 

口うがいはの基本は食後に行うと効果的です。口に30ml程度の水またはぬるま湯を含み、強めにゆすぎ、吐き出します。

 

吐き出した水の中に食べかすが出てくる場合は、食べかすが出なくなるまで何度か水を強く当ててゆすぐ必要があります。歯と歯の間にものが挟まりやすい方も同様です。

  

食後は回数を多めに口うがいをしてから、歯磨きをすると良いでしょう。細菌の栄養分となる食べ物からのショ糖(砂糖)を取り除くことで、むし歯歯周病、感染等のリスクを抑えます。

 

また、スポーツドリンクや甘い炭酸飲料、お酒など、pHが低い(酸性の)飲み物をとった場合、口うがいをすると歯が溶けたりむし歯になったりするリスクを減らすことができます。

 

仕事などで外出しているときでも、食後にはブラッシングでの歯磨きができることが理想ですが、それができない場合は口うがいを念入りに行うことで、口うがいを全くしない状態よりは感染防止や歯周病を予防する効果が期待できます。

 

 

最後に彦坂先生から一言 

歯磨きする男女

 

細菌は目に見えないですが、口腔内には本当に多くの細菌が住み着いています。全身の健康と、口腔環境を守るため、常日頃のコツコツと地道な口腔ケアへの意識が非常に大切です。

 

まだまだ口腔ケアへの意識が低い日本ですが、今日からうがいも生活に取り入れて行っていただけたらと思います。

プロフィール

監修:歯科医師 彦坂 実な美
鶴見大学歯学部卒業後、研修医を経て一般歯科医院で経験を積む。一般診療全般をこなすが、メタルフリー治療や審美歯科、ホワイトニングを得意とする。最近力を入れているのは予防医療でニューヨークのニューヨーク大学にも研修に行くなど、積極的に欧米諸国の歯の健康に対するモチベーションを学ぶ。メタルフリー学会に所属し、銀歯の金属アレルギーやリスクについての知識の普及のため記事の執筆や講演も行っている。一児の母