離人症性障害とは
離人症性障害とは自分の体や精神から現実感が失われ、外からの観察者になったように感じたりする精神障害の一つです。うつ病やPTSDなどでもあらわれることがありますが、思春期から大人になる過程でも発達の一過程として見られることがあります。
離人症性障害の症状
離人症性障害の主な症状は自分の精神が自分の体より離れ、客観的に傍観している、という現実感の喪失です。こうした損失感を患者自身が直接第三者に説明するのは時に困難な場合がありますが、当然、現実感の損失とはあくまでも患者自身がそう感じているにすぎないのが実際です。また、確認されているだけでも、不安やパニック、様々な恐怖症などが現れる場合があります。
この喪失的な感覚はより細かく三通りの症状に分けることができます。一つ目は、自分が外界から隔てられているように思える、という外界への意識変化。二つ目は、感情が無くなっているように思える、という内面への意識変化。そして、三つ目は、自分の体が別人のもののように思える、という身体の意識変化です。
離人症性障害の原因
離人症性障害の明確な原因・発症メカニズムは現在でも医学的に解明されていませんが、主に認知機能の障害が発症に大きく関わっている、と考えられています。そのため、患者自身の生まれ持った性質として脳神経の疾患、または育った環境として薬物の乱用や疲労・ストレスなどが複雑に作用した結果、発症にいたるとされています。また、不安障害や気分障害、統合失調症などの発症が原因となって並存的に発症する場合があります。いずれにせよ、発症にいたる明確な原因が解明されていないため、根本的な治療法が確立されておらず、多くの場合心理療法、行動療法、催眠療法等による治療となります。しかし、適切な治療が施されなくても、ごく自然的に症状がおさまる場合もあります。
離人症性障害の治療法
離人症性障害の根本的な原因が解明されていないため、適切な予防法は未だ明確化されていないのが現実です。唯一できる予防法といえば、疲労やストレスを軽減させ、日々の生活にゆとりを持つことです。先天的な脳神経疾患が原因であれば早期に治療ないし症状をおさえる処置が、予防に繋がる可能性があります。また、離人症性障害でなくても別の精神障害を発症したことが原因で発症にいたる場合があるので、総じていえば精神障害になりにくい環境作りが重要になってきます。
ただし、離人症性障害特有の現実感の喪失は、健常者であってもごく稀に体験する症状です。そのため、カウンセリング等で発症したかどうかを判断する必要があります。
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