今見ている世界が、なんとなく現実味がないというか、他人事のように思えてしまうことありませんか。
それは「離人症性障害」と呼ばれる症状のことで、精神や脳に原因があるといわれています。

決して他人事ではないこの「離人症」について、医師に解説をしていただきました。

離人症とは何ですか?

離人症とは、狭い意味においては自分が自分の身体から離れて、外から自分を見ているような症状を指します。

また、少し広い意味では、自分を取り巻く世界が変化してしまい、なんだかおかしな感じがするという「現実感消失」の症状も離人症に含められることがあります。

離人症の特徴

・自分に起きている出来事を自分のことのように感じない

・熱い冷たい、痛いといった感覚や、悲しい、うれしいといった感情がわきにくい

・食欲や性的な欲求をあまり感じないことが多い

・もう一人の自分に見られているような感覚

・自分の周囲に薄い膜や、壁があってそれを通じて世界を見ているような感覚がある

「解離」と「離人」の違い

解離とは、自分が自分であるという感覚が失われてしまう状態ということができます。

自分がした経験や、自分の身に今現在起こっていることに現実感がなかったり、自分が経験した過去の事柄がすっかり抜け落ちてしまったり、全く記憶がないのに気が付いたら見知らぬ場所にいるなど、非常に多彩な症状を出すことがあります。

離人症状と似通った部分も非常に多いのですが、離人症は特に青少年期に正常な発達の過程として出ることも多いといわれており、精神科疾患である解離性障害とは異なり、必ずしも日常生活に深刻な影響を及ぼすものとは限りません。

どのような場合に「離人症」になる?

一概には言えませんが、強いストレスやトラウマ、あるいは自分が安心して生活できる環境にないといった不安感や、青少年期の発達過程の一つの症状として離人症が出る場合があります。

また、離人症状は、薬物乱用や、統合失調症うつ病などの症状として出ることもありますし、脳の病気に原因がこともあるといわれています。

「離人症」の疑いを持ったら、医療機関へ

離人症の場合に医療機関へかかる場合は、症状が出ている原因によって科が異なります。

脳神経外科


脳の器質的な異常の疑いがあるとき

精神科


精神的なものや発達過程のもの、トラウマなどによるものである場合

児童精神科


患者さんの年齢がまだ幼い場合

治療内容としては、実際に原因となっている病気がある場合はその治療が優先ということになりますし、そうでない場合はカウンセリングなどで気持ちの重荷を取り除いていく治療になることが多いでしょう。

医師からのアドバイス

離人症は必ずしも医療機関を受診しない場合もあることから、はっきりしたデータはないものの、実は思春期などに仁尾港の半分以上の方が経験しているのではないかといわれることもあるほど、身近にある症状です。

ただ、喜ばしいことを心から喜べない、といったことは生活上違和感がありますから、続くようなら治療を考慮しましょう。

(監修:Doctors Me 医師)