胃がんの症状

胃がんは、早い段階で自覚症状が出ることは少なく、かなり進行しても無症状の場合があります。
  
代表的な症状は、胃の痛み・不快感・違和感、胸焼け、吐き気、食欲不振などがありますが、これらは胃がん特有の症状ではなく、胃炎や胃潰瘍の場合でも起こります。検査をしなければ確定診断はできませんので、症状に応じた胃薬をのんで様子をみるよりも、まず医療機関を受診し、検査を受けることが重要です。症状の原因が、胃炎や胃潰瘍の場合でも、内視鏡検査などで偶然に、早期胃がんが発見されることもあり、貧血や黒色便が発見のきっかけになる場合もあります。食事が喉に通らない、つかえる、体重が減る、といった症状は、進行胃がんの可能性もあるため、早めに医療機関を受診する必要があります。
  
食欲不振についてはあまり気にならない方もいらっしゃいますが、体重は客観的な数字として現れます。特にダイエットをしたり運動をしたりしたわけでもないのに、半年で10〜20%の体重減少があるようならば、要注意です。暑い時期には、誰しも食欲が落ち、体重も減少しやすくなりますが、それ以外の可能性もあるということも、頭の片隅に置いておいてください。そして、みぞおちの痛みや胃のもたれといった症状も、非常に一般的に見られるものですが、長期にわたって続く、市販の胃薬が効かないということも、要注意信号だと思います。

胃がんの原因

胃がんのリスクを高める要因にはいろいろありますが、決定的な原因となるものはありません。複数のリスクが重なって胃がんは発生すると考えられています。
  
日常の食事の内容は、胃がんの発生にも大きく関係しています。塩分の摂りすぎは、胃粘膜を荒して、発がん物質の影響を受けやすくします。食品添加物のなかには、発がん性物質が含まれているものがあります。野菜や果物の不足も、がんの抑制力の働きが鈍る要因です。
 
タバコの煙には、遺伝子を傷つけたり、がん化を促進させる発ガン物質が含まれています。胃がん以外にも、肺がんをはじめ、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、膵臓がん、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がん、子宮頸がんなどのがんが関係しているとされています。
  
家族に胃がんにかかった経験がある人は、多少リスクが高いといわれています。また、年齢も影響してきます。ただし、本人の食生活や喫煙などの方が影響が大きいとされています。また、ピロリ菌も大きな要因です。ピロリ菌は、胃の粘膜に存在する細菌で、40歳以上の日本人の場合、7割ほどがピロリ菌感染者というデータもあります。ピロリ菌がアンモニアなどの毒素をだして、胃に炎症を生じさせます。そして慢性胃炎になると、やがては萎縮性胃炎となり、胃がんや胃潰瘍になる可能性があります。

胃がんの予防/治療法

まずは、がんになりやすい要因や体質を知って、食生活や生活習慣を改善していくことが重要です。これは「がんの一次予防」になります。
  
とくに食事については注意が必要です。「塩分の過剰摂取」が続くと、胃の中で塩分濃度が高まり、胃粘膜がダメージを受けて炎症を起こします。ただし、冷蔵庫の普及で食品冷蔵が当たり前になり、保存食品であるくん製や干物などの塩漬けの食品の摂取量が減った影響で、胃がんの罹患率は減少傾向にあります。野菜や果物の不足が続くと、ビタミンCの摂取がおろそかになり、胃がんのリスクを高めます。肉や魚のこげ、カビの生えた食品も避けるようにしましょう。
  
アルコールは、胃がんのリスクにはあまり影響がないという声もあります。ただし、過度の飲酒はもちろん体によくありません。タバコについては、胃がん以外にも肺がんなどのさまざまな疾患のリスクを高めます。また、日光に当たりすぎない、適度にスポーツをする、体を清潔になども予防につながります。
また、ピロリ菌がいる場合には、除菌をすることも予防になります。  消化器内科などで相談しましょう。
健康診断やがん検診を定期的に受けることにより、がんの早期発見・早期治療を目指していくのが「二次予防」です。毎年1回は検診を受けることで、胃がんの死亡率を低下させることができます。飲酒・喫煙習慣がある方はもちろん、健康には自信があるという方も必ず検診は受けましょう。自治体では集団検診を実施しているところもあるため、検査費用を安く抑えることができます。