コミュニケーションがうまくとれない原因となる病気

以下のような可能性があります。

コミュニケーション障害


一般に「コミュニケーション障害」(コミュ障)という言葉が使われる場合は、言語能力などに問題はないものの、他人とうまく意思疎通することが苦手な傾向を指して使われる場合が多いようです。

これは医学的な疾患名ではなく、俗称です。一方、医学的な診断名としての「コミュニケーション障害」には主に以下のような病気があります。

語音症/語音障害
口や声帯などの発声に必要な器官や聴覚には問題がないのに、正しく発音することが難しい状態です。

小児期発症流暢症/小児期発症流暢障害
話し言葉がなめらかに出ない状態で、「吃音(きつおん」とも呼ばれます。

話すときに音を繰り返したり、引き伸ばしたり、言葉が出ずに間があいてしまったりすることがあります。

社会的(語用論的)コミュニ ケーション症/社会的(語用論的)コミュニケーション障害
発音や会話の能力に問題はないものの、その場の状況に適した方法でコミュニケーションをとることが苦手な状態です。

言語症・言語障害
使える言葉が少なく、文章をうまく書くことができなかったり、言いたいことをうまく相手につたえることができない状態です。

発達障害


生まれつき脳機能の発達がアンバランスであるためにさまざまな特性が現れている状態です。

以下の3種類に分けられますが、重複していることもあります。

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)
かつては「アスペルガー症候群」などとも呼ばれていました。

他人の感情を理解することや自分の感情を相手に伝えることが苦手で、表情や声色などの非言語コミュニケーションを読み取ることも難しい傾向があります。

コミュニケーションがうまくとれないために、人間関係を築いて維持していくことがうまくできない場合もあります。

注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)
注意を集中することが苦手なために相手の話を最後まで聞けなかったり、衝動を抑えるのが難しいためによく考えずに発言や行動をしてしまうことがあります。

静かにしていることが苦手なために、大きな声でよく喋る場合もあります。

学習障害(LD)
知的能力に問題はないのに、読む・書く・聞く・話す・計算する・推論するなどの能力のうち、特定のものが極端に苦手な状態です。

社交不安障害


以前は「対人恐怖症」と呼ばれていた病気で、人前でうまく振る舞えないことや恥をかいたりすることを極端に恐れるあまり外出などを避けてしまうため、日常生活に支障が出ている状態のことです。

パーソナリティ障害


大多数の人とは違う反応や行動をしてしまうために本人が悩んでいたり、周囲の人が困っているような状態のことです。

感情が不安定、人間関係で適切な距離を保つのが苦手、衝動を抑えにくいなどの特性がコミュニケーションの支障となることがあります。

その他の病気


うつ病適応障害知的障害双極性障害統合失調症などの症状のために、他人とのコミュニケーションがうまくとれない場合もあります。

コミュニケーションがうまくとれない場合の対処法

大人数の集まりが苦手だったり、よく知らない人や気が合わない人などとのコミュニケーションがうまくとれないと感じるのは多くの人に起こる反応です。

このような場合は頑張り過ぎず、適度な距離を置いて人と接してみる方がかえってうまくいくこともあります。

しかし、環境や相手が変わっても同じような困りごとが起こるような場合は、何らかの病気が隠れている可能性もあります。

悩みが大きい場合や生活に支障が出ている場合などには、医師やカウンセラーに相談してみると良いかもしれません。