耳の痛みは病気の重要なサインであり、さまざまな体の不調を教えてくれます。
痛みを感じたら放置せず、しかるべき対応をしたいものですが、耳の痛みにはどのような病気の可能性があるのでしょうか。

そこで今回は、耳の痛みと考えられる病気について、医師に解説していただきました。

耳の痛みの場所や症状ごとに考えられる病気を教えてください

耳の痛みの場所や症状ごとによって、以下のような病気の可能性が考えられます。

1.耳たぶや耳の周辺
ここにできものがある場合、ヘルペスウイルスなどの感染が起こっている可能性があります。同時に顔面を動かす神経が麻痺したり、難聴やめまいを伴うことがあります。

2.外耳道(耳の穴から鼓膜までの道)
ここは耳かき、異物を押し込んだ、殴られたなどで傷つきやすいもので、総称して外耳炎と呼ばれます。
眠っている間に小さいゴキブリや羽虫が入り込むこともあります。この場合、無理に押し込んだりせず、食用油などを流し込むことで溺れさせたり、懐中電灯で照らしておびき出す方法がありますが、本人は痛みと耳の中でごそごそ動く感触でパニックになってしまいます。

3.鼓膜
けがや気圧の変化で鼓膜が破れて痛みが生じることがあります。切れた鼓膜は自然と閉じることがほとんどですが、感染を起こさないよう耳鼻科での処置が必要です。
鼓膜より中のスペース、中耳や内耳に炎症が生じても痛みが生じます。時には鼓膜を破って膿が出て、耳垂れとして流れ出てくることもあります。

また、トンネルに入ったり飛行機で急上昇して気圧が急激に変化することで生じる痛みや、三叉神経痛や肩こりにともなって耳の痛みが生じることもあります。

特に注意が必要な病気とその理由を3つ教えてください

耳の痛みから気が付ける病気の中でも、特に以下の3つには注意が必要です。

1.ヘルペス
耳たぶにできものがあり顔面が動かずに口から水が漏れるような症状がある場合、ヘルペスウイルスの感染を起こしている可能性があり、顔面神経の動きにくさにともなう後遺症を残すことがあります。

2.内耳の炎症
耳鳴りめまい、聞こえにくさを伴う場合や高熱がある場合は、耳の奥の内耳に炎症が及んでいる可能性があり、また最近が全身に波及する可能性もあります。

3.鼓膜が破れた場合
ほとんどは自然に治りますが、鼓膜の切れ方によっては整復の必要があったり、感染対策が必要なことがあります。

上記の場合は早急に受診が必要です。

どのような耳の痛みを感じたら病院に行くべきですか?

経験したことのない強い痛みに加え、以下のような痛み以外の症状を伴う場合は必ず受診してください。

・耳鳴り
・めまい
・聞こえにくさ
発熱
頭痛

耳の痛みを感じたら、まずは耳鼻科を受診しましょう。お子さんの場合でも小児科より耳鼻科をお勧めします。
小児科にも簡単な耳鏡はありますが、耳専用のピンセットや吸引器や処置薬剤はないためです。

医師からのアドバイス

耳の痛みは誰もが経験するもので、重大な病気ではないかと心配になります。

しかし、まずは痛みの場所や性質、どのような状況で痛みが起こるかを観察しましょう。痛みが続く場合は受診を検討してください。

(監修:Doctors Me 医師)