「なぜか口の中が乾いて困る」という経験はありますか? もしそんな状態が続いたとしたら、あなたも「ドライマウス」なのかもしれません。

ドライマウスは、更年期の方に起こりやすいともいわれていますが、それはなぜなのでしょうか。

今回は口が乾く状態になる「ドライマウス」について、医師に詳しい話を聞いてきました。

ドライマウスとは

唾液の分泌が減少して口の中が乾燥し、以下のような状態になることを「ドライマウス」と呼びます。

・舌や口の中がヒリヒリし、味が分かりにくくなる
・ビスケットやパンなど、乾いたものがモサモサして食べにくくなる
・声を出すのも難しくなり滑舌も悪くなる
・口の中の傷や虫歯が治りにくくなる
歯周病や歯槽膿漏になりやすくなる
・細菌の繁殖のために口臭がする

ドライマウスの原因

唾液を分泌する唾液腺の機能異常


唾液腺の機能異常が起こる原因は以下のような場合です。

・唾液腺へのウイルス感染(おたふく風邪ウイルスによる流行性耳下腺炎など)
シェーグレン症候群(自己免疫機能の異常により分泌機能低下になる)

唾液腺に指令を出す自律神経の異常


自律神経の異常が起こる原因は以下のような場合です。

・ストレス
糖尿病
更年期障害によるホルモンバランス異常

更年期とドライマウスの関係について

複数の要因により、更年期はドライマウスになりやすいといわれています。

更年期とは


女性が閉経に至る移行時期を指します。
卵巣の中の卵子がなくなりかけると、脳からの指令に対し卵巣が反応しなくなります。それにより、脳が多量のホルモンを出し卵巣を刺激しようとするのです。

その際に働く脳の近辺に自律神経の司令部がある影響で、更年期には自律神経のバランスが崩れがちになります。

更年期障害の症状


突然ほてりが生じたり、暑くもないのに汗が出てきたりというのが代表的な症状ですが、唾液腺の分泌が減ることも症状の一つです。

また、更年期では不安やイライラが起こりやすく、ストレスがたまりがちです。ストレスもまた唾液腺の働きを低下させます。

更年期障害の薬による副作用


更年期障害の症状を和らげようと抗鬱剤や抗不安薬を内服されることがありますが、その薬の成分に抗コリン作用が含まれていると、これにより唾液分泌を減らしてしまうことがあります。

ドライマウスの検査

ドライマウスやシェーグレン症候群の診断のためには、以下のような検査を行います。

血液検査


ホルモンや自己免疫機能の状態を見る

ガムテスト


検査用のガムを噛み、唾液がどれだけ出たかを検査

生検検査


唾液腺を一部取って顕微鏡で見る

ドライマウスの対策

ドライマウスの治療に用いるもの


・人工唾液と呼ばれる薬
・うがい薬
・トローチ

自分でできる対策


・歯磨きやうがいをこまめにして口の中を清潔にする
・禁煙する
・飲酒は脱水を招くため、お酒はほどほどにする
・水分を十分とる
・よく噛んで食べる
・食べ物は柔らかく煮たりとろみをつけて、食べやすくする
・唾液腺を指でマッサージする

唾液腺のマッサージは、耳の前にある耳下腺、エラの裏側にある顎下腺、前あごの下にある顎下腺のあたりを円を描くように押さえましょう。

医師からのアドバイス

口が渇くという症状を更年期障害と結びつけることは、知識がないと難しいかもしれません。これを機にぜひ覚えておきましょう。

ドライマウスは、さまざまな対策をとることで口臭や渇きの不快感を改善することができます。ぜひ試してみてくださいね。

(監修:Doctors Me 医師)