更年期障害こうねんきしょうがい

カテゴリ
女性の病気と妊娠・出産
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医師監修

更年期障害とは

女性の45歳から55歳頃の年齢を「更年期」と言います。
この期間は成熟期から老年期の間です。女性は平均的に50歳前後で閉経を迎えますが、その前後5年間の期間を指します。40代半ば頃から卵巣の機能が低下するにしたがって、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減少します。それにより引き起こされる、のぼせや倦怠感などのさまざまな不調を更年期障害と言います。男性にも起こります。

女性ホルモンのエストロゲン

更年期障害の原因
エストロゲンは、女性らしい体を作ったり、排卵や月経などを起こすために必要なホルモンです。18歳から40歳頃に最も盛んに分泌されます。

40歳を超えたあたりから分泌量が減少していき、閉経を迎える前後で分泌量が激減してしまいます。

しかし、更年期にさしかかるあたりでも、エストロゲンを分泌させるための視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモンが分泌され、正常に卵巣の機能が働いていればエストロゲンは分泌されます。

更年期障害の原因

エストロゲンが分泌しにくくなる


更年期障害の構図
■ 卵巣機能の低下
年齢により卵巣の働きが低下している場合、卵巣から分泌されるエストロゲンの量が増えることはありません。

閉経を迎えるころ(45歳を過ぎるあたり)は、いくら脳下垂体がエストロゲンを分泌するように指令を出しても、卵巣機能が低下しているため、エストロゲンは出にくくなります。

■ 脳がエストロゲン分泌の指令を繰り返す
閉経(45歳を過ぎるあたり)前後の5年間では、脳下垂体でエストロゲンの分泌を促す指令を出しますが、いくら命令を出してもエストロゲンの量は増えません。

この命令を繰り返されることで、ホルモンバランスや自律神経のバランスが崩れてしまうために様々な症状を発症します。これが更年期障害の原因です。

更年期障害の症状

更年期障害の症状
加齢や閉経などで、からだが「曲がり角」にさしかかる40歳半ばから50歳後半。子どもの独立・親の介護・定年退職など、ちょうど社会的な変化も訪れます。

からだの変化と心のストレスが複雑にからみ合い、具体的な症状として現れるのが更年期障害です。からだと心には個人差があるので、更年期障害の主な初期症状もさまざまです。

頭痛


頭痛の女性
更年期障害では、ストレスや自律神経のバランスが崩れることにより、緊張型頭痛(筋緊張性頭痛)偏頭痛が起こることがあります。

もともと生理前には頭痛が起こりがちになりますが、女性の更年期障害の症状として、生理前以外にも、主にホルモンバランスの乱れが影響し、脳への血液がうまく行き届かないことで頭痛が起こる場合もあります。

■ 対処法
市販の鎮痛剤を飲み、暗くて静かなところで休むのが一番効果的だと言えます。

めまい


めまいを起こしている女性
更年期障害のめまいには、3つの種類があります。これらの症状が発症した場合には、更年期障害者ではないこともある為、まずは病院へ行くのがよいでしょう。その症状や原因に対して適切な治療を行ってくれます。



























めまいの種類 症状 予防法
回転性めまい 急に天井や壁などが動き、ぐるぐる自分の周りを回転しているように見えます。すぐに治りますが、何度も繰り返されます。 カルシウムが減少し、耳の機能にも悪影響を与えてしまうためカルシウムを摂取すると効果的です。
浮動性めまい 足元が安定せず自分自身がフワフワ浮いているような感覚がします。数時間継続する方もいます。脳疾患や視力障害など他の疾患が原因で引き起こることもあるので注意が必要です。 運動や睡眠、ストレスの発散などしてゆとりのある良い生活習慣を送るようしましょう。
立ちくらみ・眼前暗黒感 立ち上がった瞬間に目の前がクラっとくるめまいです。血圧が低い人に起きやすく、更年期障害者では貧血症状もあるため、その関連で発症すると考えられています。 貧血に対する食事管理などが必要です。



吐き気


吐き気がする女性
自律神経が乱れると胃腸の作用へ悪影響が与えられ、食欲不振や消化不全、吐き気を発症することがあります。

また吐き気はストレスとも関係しており、心理的な負担によって症状が増幅されることがあります。

■ 対処法
ホルモンバランスを調整し、自律神経の働きを正常に戻すことです。婦人科に相談しホルモン剤を処方してもらったり、エストロゲンに似た効果をもつ大豆を摂取したりすると効果的です。

身の負担を軽減するため、規則正しい生活を送り、十分な睡眠を取り、ストレス発散を行うことも大切です。

耳鳴り


耳鳴りがする女性
更年期にさしかかると、感覚器官自体が加齢のために変化し、耳鳴りを発症することがあります。

症状としては、周囲が静かなときに「キーン」「サー」という音が響くものが多いです。めまいを併発することもあります。

■ 対処法
更年期障害の耳鳴りは自然に治まるため、まずは規則正しい生活や十分な睡眠、適度な運動、ストレス発散を心がけましょう。

もし症状が改善しない場合は、突発性難聴など他の病気の可能性があるため、耳鼻科へ相談してみましょう。

汗(ホットフラッシュ)



更年期障害を自覚する人の3人に1人は、ほてりや多汗が気になっているというデータがあります。更年期障害に特有のほてり・汗は「ホットフラッシュ」と言います。

ホットフラッシュは自分の意思で止められるものではなく、突然起こってしまうものです。

■ 夜間の寝汗
更年期障害で、寒暖に関わらずあらわれる「ひどい寝汗」を発症することがあります。起きている時間帯であれば、ホットフラッシュと呼ばれる「ほてり」「のぼせ」といった症状で現れるのですが、夜間には「寝汗」という症状であらわれます。

身体がほてってひどく寝汗をかき、それが原因で夜中に何度も目が覚めてしまったりします。症状が進行すると、睡眠障害に陥ってしまうこともあります。

■ 対処法
・定期的に軽い運動をして全身の汗腺から汗をかく
・汗をすぐに吸汗するような材質の衣服を着る
・急にほてった時、首元やわきの下を冷たいタオルやペットボトルなどで冷やす
・カーディガンなどで重ね着をして体温調節を行う

精神面に表れる症状


精神的な更年期症状の図
更年期障害になると、気持ちをおだやかにさせる働きをもつホルモンであるエストロゲンが不足してしまうために下記のような精神的な症状が起きます。



  • 不安感が強くなる

  • やる気が起きない

  • 落ち込みやすくなる

  • 無性にイライラする

  • すぐ怒りやすくなる

  • 人に八つ当たりするようになる




■ 精神的な病気
症状が重く、長く続くとうつ病と診断されることもある一方で、更年期障害が原因と思っている「うつ」のような状態でも、身体表現性障害(仮面うつ病)のために不安や悩みが体調不良に現れる場合もあります。

更年期障害時に発生しやすい精神的症状は下記の通りです。
・情緒不安定
うつ病
・ヒステリー


■ 対処法
・リラックスする
・好みのアロマなどでリラックスする
・朝起きてしっかりと日光を浴びる
・不安やイライラが強い場合は、漢方や抗不安薬などで改善を図る

生理不順


生理不順の女性
40代半ばの女性の生理のパターンが突然変わってしまったら、更年期による生理不順かもしれません。出血量の変化や、月経前に少量の出血があったり、逆に月経後も出血がだらだらと続く場合も見受けられます。

しかし、ときには出血の原因が子宮筋腫子宮体がん・子宮内膜がんなどの病気である可能性もあります。不自然な出血が気になる人は、必ず婦人科を受診しましょう。

不定愁訴


不定愁訴の女性
更年期障害により、下記のような症状がでることがあります。下記の症状は「不定愁訴」ととらえられます。


不定愁訴



  • めまい

  • 頭痛

  • 倦怠感

  • 動悸

  • 下痢

  • 頻尿

  • 食欲不振

  • 手足の痺れ、震え

  • 肩こり

  • 冷え

  • 不眠



更年期障害の治療法

産婦人科
更年期障害は個人によって症状やその程度が大きく異なります。医師に症状について正直に伝え、個人にあった方法で治療を行うようにしましょう。

まずは婦人科を受診することをおすすめします。婦人科では、問診に加えてエストロゲンをはじめとするホルモンを含む血液検査、子宮や卵巣の状態をみる超音波検査や子宮がん検診、閉経後の女性に起こりやすいとされる骨粗鬆症のチェックなどで、総合的に状態を判断します。

生活に支障が出るほどに重症化した場合には、治療を行うことが必要となります。

ホルモン補充治療


診断を受ける女性
加齢によって、体内に不足している女性ホルモンのエストロゲンを外から補充する事により症状の改善を目指す治療です。

漢方での治療


漢方
漢方は体質改善をして状況に慣れていくという方法です。全身の血流やリンパ、気の流れを適切に調節して、ホルモンバランスの崩れからくる症状を全体的に改善することができます。

■ 効果的な摂取方法
漢方は複数種類のものをうまく混ぜ合わせることで、複合的な効果を狙います。 全身の血流の流れをよくし、身体を温めるような漢方の調合が効果的です。

具体的な組み合わせについては、その人の性格や体質、症状、月経の状況などによってさまざま考えられるので、医師に相談が必要です。

ホルモン補充治療とは?

治療法


ホルモン治療
卵巣からの分泌が少なくなり体内で不足した女性ホルモン(エストロゲン)補充する事により症状の改善を目指すのが「ホルモン補充療法」です。

ホルモンバランスの崩れによって出る症状の為、不足したホルモンを適切に補充することによって顔のほてりやのぼせ、汗が多く出る、肩凝りや憂うつ状態の軽減など、不快な症状からの回復を目的として実施されるものです。

ホルモン補充の方法


湿布を貼る女性
・錠剤の経口投与
・皮膚薬での塗りこみ
・湿布薬の貼付


注意点


注意する女性
補充療法の実施中は、自分勝手な判断で市販薬に頼る様なことはせず、医師の定期的な診断からの指示に従うことが重要です。

診断や検査の際に少しでも不安に思う事は、医師へ確認するようにしましょう。

子宮がんなどで摘出手術を受けた方にはエストロゲン製剤のみを単体で処方し、そうでない人には子宮内膜を保護する為に黄体ホルモン製剤も併せて処方されます。

■ 経口投与の注意点
ホルモン治療
経口投与の場合は肝臓への負担も考慮する必要がある事から、以降の定期的な診断の中で、利尿剤や抗うつ剤など、別の症状への対応も考慮した薬剤が追加で処方される場合もあります。

また、服用してから吸収するまでに時間がかかり、血液中のホルモンが安定しない特徴ともつことから下記のような注意が必要です。

・服用の時間が厳密
血液中のホルモン濃度が安定しないことから服用後が濃度が高く、時間により腎臓で尿として排出され濃度も下がる為服用の時間を厳密に守らなくてはいけません。

・乳がん発病のリスク
服用直後は濃度が特段高い状態を長い時間維持する事になり、乳がん発病のリスクも併せて持つことになります。

いろいろな種類の更年期障害

男性の更年期障害


悩んでいる男性
■ 原因
男性も、男性ホルモンである“テストステロン”が減少することによって、女性の更年期障害と同様の症状を含め、様々な症状がでることがあります。

■ 症状


体に出る症状



  • 疲れやすくなる

  • 疲れがとりにくくなる

  • 頻尿になる

  • 体や顔がほてったり、のぼせたりする

  • めまいや、頭がぼーっとする

  • 日中だるくなる

  • 寝付けない、途中で起きるなどの不眠

  • 体や顔がほてったり、のぼせたりする

  • 胸が痛くなったり、胸の不快感や動悸を感じる

  • 筋肉が減り、筋力が落ちる
  • 太る

  • 精神的な症状


  • 集中力の低下と無気力になる

  • 不安を感じやすくなる

  • 理由もなく悲しくなったりする

  • 胸の不快感や動悸を感じることがある

  • 様々なことが億劫になる

  • やる気がなくなる

  • 以前より神経質になる

  • 人にあたってしまったり、パニックになりやすくなる

  • 性機能的な症状


  • 性機能に問題が生じることある

  • 性欲の低下が起きる

  • 勃起不全に陥り、男性不妊の原因となることもある





若年性更年期


悩んでる女性
■ 原因
20代~30代に見られる更年期障害に似た症状の多くは、無理なダイエットや不規則な生活を続けることで起こる自律神経のバランスの乱れに起因します。その結果、卵巣機能が低下してしまうことで更年期障害に似た症状が表れます。

■ 症状
20代~30代の若い女性にも、生理が不順になったり、月経が無くなることで更年期障害と同じような症状を発症することがあります。若年性更年期障害の場合、症状が自律神経失調症月経前症候群(PMS)であることが多いと考えられています。

※若い女性で著しい卵巣機能低下が疑われるときな病気が隠れているかもしれません。症状がひどかったり続いたりする場合は、医師に相談してください。

更年期障害の対処法




  1. 体を冷やすことを避ける

    卵巣機能の低下を招くので、生理中に体を冷やすことは避けましょう。更年期前の生理不順の時期には特に注意をして、生理中には腰を温めるようにすると生理の負担が少なくなり、血行も良くなります。




  2. 意識をして体を休める

    疲れがたまりやすくなっているので、生理の時には意識をして体を休めることも大切です。無理をして疲労を蓄積させてしまうと、更年期症状が重くなる原因となるので、注意が必要です。



  3. 規則正しい生活を行う

    体の負担を少しでも減らし規則正しい生活を行うことが更年期前の生理の時期に一番大切なことです。




  4. 行動療法

    どういった場面で、ホットフラッシュや発汗、痛みなどが起こるかを覚え、そのような状況を避けるように行動する方法が有効です。



  5. 精神的に楽な状況を作る

    いろいろな趣味を見つけて、精神的に楽な状況を作ることが大切です。



  6. 趣味に没頭できる時間を持つ

    リラックス時間や、趣味に没頭できる時間を持つことで更年期障害の症状を気にしすぎずに過ごせます。


更年期障害の予防法

有酸素運動




ウォーキングや水泳などの有酸素運動は更年期障害の症状緩和と予防に有効です。有酸素運動には、日々の生活やホルモンの分泌によって乱れた「自律神経を整える作用」があり、呼吸器や循環器などの内臓の働きを促し、活発化させる効果があります。

他にも適度な運動によって、快適な睡眠や、心身のリフレッシュにも繋がるでしょう。

睡眠



適度な時間の睡眠は、疲労を回復させ、心身共に良い影響を与えます。そして、質の良い睡眠はストレス解消に繋がるほか、睡眠中に分泌される成長ホルモンによって心身の老化を緩やかにすることができます。

毎日の睡眠サイクルを決めれば、生活リズムが整います。ホルモン分泌の乱れによって自律神経が乱れがちになるので、意識をして自律神経を整えるようにしましょう。

■ 寝る前の時間の過し方
就寝2時間前のパソコンや携帯電話操作を避け、脳に刺激を与えないよう習慣づけたり、お風呂にゆっくりと浸かるなどが、自律神経を整える習慣を作ることになります。

食事


納豆
甘いものや脂っこいものなど偏った食事は極力避け、大豆イソフラボンを多く含んだ大豆やビタミン群が豊富な緑黄色野菜、ナッツ類を摂取するよう心がけると更年期障害には効果的です。

■ 大豆イソフラボン
大豆に含まれる大豆イソフラボンは、エストロゲンに似た働きをすると言われています。
・みそ
・豆乳
・きな粉
・納豆

■ サポニン
大豆にはサポニンという成分も含まれていて、エストロゲンの分泌を促す効果があります。

■ ビタミンE
ビタミンEに関しては老化を予防し、血液の循環を促し、ホルモンバランスを整える働きがあります。

更年期を前向きに考える

更年期の女性
「更年期障害」と病気のように考えると、不安や恐怖を感じることもあるかもしれません。しかし、現在の日本では女性の平均寿命が85歳、特に80歳以上の女性は男性の2倍以上というデータもあります。

女性の更年期は「終わり」ではなく、これからに向けた「ひとつの節目」です。つらい時には無理をせずに休んだり、「何がつらい」のか考えてどうしたらそれが安らぐかと試してみたりしてはいかがでしょうか。

「つらい!」だけじゃなく、ゆっくりと和らげられるようにしましょう。婦人科に相談するのもひとつの方法です。

更年期障害の薬の上手な選び方・使い方

詳細をみる
更年期障害の症状について悩まされているなら、婦人科のクリニックで相談する方法が適しています。症状に合わせて内服薬を処方してもらえるからです。体調を考慮して内服薬が処方されますから、詳しく説明することが大切です。アレルギーなどの疾患を抱えている場合にも、正直に伝えるべきです。

更年期障害の内服薬を薬局やドラッグストアで購入したい場合には、薬剤師に相談することが大事です。さまざまな内服薬が販売されていますが、火照りやめまいなど、症状に合わせて購入するべきだからです。薬剤師ならば、内服薬の効能や成分について説明をすることができます。さらに、通信販売のサイトを利用して更年期障害の内服薬を入手することも可能です。ただし、症状や体調を自分で念入りにチェックすべきです。通信販売のサイトにチェックシートが掲載されているならば、あらかじめ確認しましょう。

尚、更年期障害の内服薬は、水もしくは白湯で服用する方法が適しています。必ず水か白湯を用意しておきましょう。ほかの飲み物で服用すると、体調不良を発症する危険性があります。内服薬のラベルには説明書が載っていますので、服用する場合には、飲み物に関する注意書きも念入りに確かめることが重要です。
  • このコーナーは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法、専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません
  • 専門家の皆様へ。病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください

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