夏が終わったにも関わらず、9月・10月は気温や湿度がまだ高く、使用していたエアコン内部がカビの温床となっている可能性があります。
エアコンをそのまま放置していると、カビがアレルゲンとなる「カビアレルギー」を発症してしまう恐れも。ジメジメした梅雨の時期だけではなく、秋冬もカビ対策は必要です。
今回は、カビアレルギーの原因、関係する病気、予防対策などを医師に解説をしていただきました。
カビアレルギーが多い時期
カビは低温にも高温にも強く、水分がある場所ならどこでも繁殖しますが、高温多湿になる梅雨から夏にかけて特に増えやすいと言えます。
しかし、秋や冬場でも、エアコンなどカビが発生しやすい環境のお手入れをしない場合は、室内はカビにとって増えやすい環境にもなります。
カビアレルギーの原因となる環境
エアコン
空気と一緒にホコリを吸い込んでいるため、内部にホコリが溜まっています。また稼働すると内部に水気が溜まり、湿ったホコリの中にカビが繁殖します。
クラドスポリウム、アルテルナリア、アスペルギルスなどのカビが多いと言われています。
浴室
水気があり、人の皮脂や石鹸カスなど栄養分も豊富です。お風呂のマットに多いと言われている白癬菌(水虫の原因)もカビの一種です。
古い木造家屋
古い木造家屋にはトリコスポロンというカビが増えやすく、夏に家にいると咳や発熱が出る「夏期過敏性肺炎」の原因になります。
台所
水気と栄養分が豊富です。
畳、カーペット、じゅうたん
人のフケや髪の毛などの栄養分があり、敷きっぱなしの布団の下に敷かれていたなどの場合は湿気が多くなります。
収納
換気が不十分な場合は、ホコリや水分が溜まってカビが増えます。
カビアレルギーが関係する病気
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
■ 原因
アスペルギルスだけでなく、カンジダ、ペニシリウムなど様々なカビが原因になります。
■ 症状
喘息をもともと持っている方が、喘息の発作のような症状を起こしますが、普通の喘息治療が効果がない場合に疑います。咳・痰・呼吸が苦しい・発熱などが見られます。
■ 診断
CTなどの画像検査と、血液中のアスペルギルスに対するIgE抗体が増えていることで行います。
■ 治療法
喘息治療に加えてステロイド薬の内服を行い、アレルギー反応を鎮めます。
過敏性肺炎
■ 原因
古い木造住宅で長い時間を過ごすと、カビを少しずつ吸い込み、カビに対するアレルギーが起こります。カビを吸い込んだら必ず発症するというわけではなく、なりやすい体質があると言われています。
■ 症状
咳がありますが痰はあまりなく、息切れや発熱、筋肉痛があります。古い家の大掃除をした4~6時間後に咳が出るといった急性型もあります。
家で長時間過ごしていた主婦に多く、旅行などで家を離れたり、入院すると軽快するという特徴があります。
■ 診断
CTなどの画像検査や、特徴的な病歴により診断します。
■ 治療法
ステロイド薬の使用や、環境を変えることが治療になります。
アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎
カビの多い環境で悪化すると言われています。カビのいない環境を作り、保湿や皮膚の炎症を抑える塗り薬での治療を行います。
カビアレルギーの治療法
受診科目
症状に応じて、呼吸器内科や皮膚科を受診しましょう。
検査
血液中のカビに対するIgE抗体を測定する血液検査の他、症状に応じてレントゲン・CTなどを行います。
治療
カビのいない環境を整えること、アレルギーを抑える薬を使用することです。
処方される薬
アレルギー反応を抑えるステロイドが中心になります。
カビアレルギーの予防対策
・湿気を取る
・空気を通す
・ホコリをためない
・カビを早めに排除する
・大掃除のときはマスクやゴーグルをする
最後に医師から一言
カビは発酵食品に使用されるなど我々の身近な存在ですが、体内に繰り返し入ることでアレルギー反応を引き起こすことがあります。カビの増えにくい環境整備が重要です。
(監修:Doctors Me 医師)