医療現場の第一線で活躍する医師に会いにいき、気になるテーマを深堀するインタビュー企画第一弾。
今回は、皮膚科の中でも「皮膚外科」というあまり耳馴染みのない領域について、皮膚科医として活躍する「はなふさ皮膚科」の花房火月(はなふさ ひづき)先生に解説していただきました。
皮膚外科は皮膚科とどう違う?
▲「皮膚外科は美しく治すことが基本。そこに面白みがあります」(花房火月先生)
―――皮膚外科とはどういった領域なのでしょうか?
皮膚外科とは、皮膚腫瘍を切除するなど外科的に治療する部門です。
皮膚腫瘍には、粉瘤、脂肪腫、ほくろ、基底細胞がん、巻き爪、陥入爪(かんにゅうそう)などの疾患があります。
また、化膿性汗腺炎という炎症性疾患と自己免疫疾患の間のような疾患があるのですが、こうした疾患にも対応します。
通常の皮膚科と大きく異なるのは、手術を治療に取り入れているかどうかという点があります。はなふさ皮膚科では、こうした皮膚外科の手術をメインに治療しています。
―――「皮膚の手術」をメインに取り扱うクリニックを開業されたきっかけは?
外科医を目指してキャリアをスタートさせたのですが、途中で皮膚科医へと専門を変えています。また、外科医になろうとしていたこともあり、若手のうちから手術を担当させていただく機会が多く手術に慣れていたことから、皮膚外科を中心に据えるようになりました。
皮膚科では伝統的に病理学的な診断の方に重きが置かれていて、疾患となっている部分を大きく切除することが一般的で、「より美しく治す」という点では遅れていました。疾患が悪性のものでないかどうかしっかり診断するために手術をしていた、というのが大きかったわけです。
現在では、術前診断の精度が格段に上がり、明らかに良性の病変は全例で大きく切除する必要はありません。そういった流れを受け、「より美しく治す」ことにフォーカスしたクリニックを立ち上げたいと考え、開設したのがはなふさ皮膚科です。
皮膚外科はどんな悩みを持つ方が来院するの?
▲先進的な治療法の導入・普及活動が評価され、英字新聞にも取り上げられたことがあるそう。
―――はなふさ皮膚科を受診される患者のお悩みは?
当院を選ばれる理由として1番多いものは、腫瘍の治療にあたって「入院になります」とか「大きな傷ができてしまいます」と言われ、困ってご相談に来られる方が多いです。
大きな腫瘍やメラノーマ(悪性黒色腫)など一部の重篤な重大な皮膚腫瘍については入院せざるを得ないですが、一方で95%以上の皮膚腫瘍は入院する必要はないと考えています。
外来で受け入れられる皮膚腫瘍の幅を広めていくことで、患者様の負担を少ない状態で治療していくことが当院の特徴となっています。
―――どんな症状で来られる方が多い?
皮膚腫瘍のなかでも粉瘤で来られる方が多いです。
粉瘤とは、皮膚に袋状のできものができて、それが徐々に大きくなっていく疾患です。徐々に大きくなっていく過程で、できものが悪いものなのではないかと不安になり受診される方が多いです。
粉瘤については、当院では『くり抜き法』という治療法を提唱し、実践しています。
粉瘤のくり抜き法
袋状の病変である粉瘤に対して、病変部に小さな穴を開け、そこから袋を吸い取るようにくり抜く治療法。 局所麻酔により約5分程度の手術で済み、手術後のダウンタイムも10日ほどで、比較的負担の少ない手術ができることが特徴。
皮膚外科ではどんな治療をするの?
▲はなふさ皮膚科のレーザー機器のひとつ。疾患に合わせた幅広い機器を取り揃えている。
―――治療はどんな流れになるのですか?
腫瘍の治療方針としては、基本的に「取る」ことを第一に考えていきます。
皮膚外科の治療のプロセスとして、患者様とのコミュニケーションは「どうやって取っていくか」や「どういう傷が残るか」という部分が中心となっていきます。
当院では、より素早く、よりよい結果を出すことをポリシーとして治療しています。よりよい結果とは、より小さな傷跡、より再発率の少ない治療、より安全性の高い治療法、より負担の少ない治療であると考えており、さらに術後の美しさも重視しています。
―――このクリニックならではの強みは?
レーザー治療器は相当多いほうだと思います。こうした機器を多彩に取り揃えていれば治療可能な症状も多くなり、他の病院ではできないような治療も対応できる可能性が高まります。
また、保険診療と美容診療を両方標榜しています。保険診療と美容診療は保険が適用されるかどうかの差で、根っこの部分は「美しく治したい」という患者様の希望に応えるものなので、より素早く、よりよい結果をという点では、大きな差はないもと考えています。
ただ、美容診療については保険適用外ということも考慮して患者様のニーズや費用のことも考慮し、より金銭的な負担も少なく、ということも治療方針に加わってきます。
皮膚のお悩みをお持ちの方に向けて
皮膚腫瘍の治療は日進月歩なので、もし他の医療機関で「腫瘍を取れない」とか「傷跡が汚くなってしまう」などと言われてしまった方も、どうぞご心配なく。諦めてしまう前にぜひ一度ご相談くださいね。
花房火月(はなふさ ひづき)
医療法人社団 清優会 理事長
東京大学医学部卒業後、癌研究会有明病院、東京大学医学部附属病院皮膚科、NTT東日本関東病院皮膚科を経てはなふさ皮膚科を開設。The Japan Times紙の『アジアの次世代を担うリーダー100人(100 Next-Era Leaders in Asia 2015-2016)』に選出。
はなふさ皮膚科
三鷹院、新座院、国分寺院、久我山院、志木院の5院を開設し、皮膚腫瘍を中心に皮膚疾患を幅広く受け入れているクリニック。皮膚腫瘍の治療のため全国から患者が訪れており、保険診療だけでなく美容診療も行っている。
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