4月7日に出された新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が全面解除され、“新しい生活様式”を見据えた生活が各地で始まっています。

 

ところで、「コロナ離婚」というワードをニュースなどで見聞きした人もいると思います。コロナの影響で夫婦関係はどのような影響を受け、新しい生活の中でどう変わっていくのでしょうか。

 

「コロナ離婚」の解説とともに、今後の夫婦生活がうまくいくための方法をお伝えします。

 

目次

 

「コロナ離婚」とは?

コロナ離婚

 

コロナ離婚とは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やそれに関する対応策などが起因の離婚のことを指します。

 

緊急事態宣言をきっかけに多くの企業が在宅勤務を導入し、夫婦で同じ空間を共にする時間が増えました。

 

また、お子様のいるご家庭は、休園・休校により自宅で親が保育をすることになり、育児を夫婦だけでしなくてはいけない環境へと変わったのではないでしょうか。

 

こうした“家族でいる時間が増えたからこその環境の変化”は、これまで受け流してきた夫婦の価値観の違いや家事・育児分担の偏りなどを浮き彫りにした側面があります。

 

これらのストレスや不満がコロナ離婚へとつながっているようです。

 

仕事や生活環境の激変…新型コロナによる不安やストレスへの対処法を産業医が解説します。

 

 

コロナ離婚は相手の言動からの自己防衛反応

新型コロナウイルス感染症の拡大により、私たちの生活環境は“我慢”を強いられることが多い生活へと変わりました。

 

仕事に行けない、外出できない、人に会えない、運動が自由にできない、外食ができない…。

 

感染拡大を阻止するために必要なことだと分かってはいても、これら一つひとつの制約がストレスとなって私たちの心に負荷をかけていました。

 

自宅という閉鎖空間で、相手の言動によるストレスが溜まっていく

 

 ストレス負荷が高い状態でさらにストレスがかかると、コップから水があふれだすように3つの側面でのストレス反応が起きます。

 

・心理面(イライラ、不安、怒り、落胆など)

・行動面過食、飲酒、喫煙、事故、トラブルなど)

・身体面動悸胃痛頭痛食欲不振など)

 

このストレス反応の原因が、「三食ご飯が出てきて当たり前だと思っているような夫の態度」「高い水準で求められる妻の育児に対する要求」など相手の言動にあった場合、防衛本能としてストレスの原因(妻、もしくは夫)から離れたい気持ちが出てきます。

 

ただ、自宅という限られた空間の中では夫婦間の距離を置くことが難しく、ストレスのやり場のなさから結局は抱え込むことになってしまいます。

 

夫婦は近しい存在であるがゆえに他者よりもきつく感情をぶつける傾向があり、制約だらけの生活の中ではお互いに受け止める余裕がないことも。

 

夫婦がコロナ離婚へと向かう過程にはこうした心理的背景があるのです。

 

 

夫婦間の離婚・不和を防ぐためにできること

まずは前提として、お互い高ストレス状態の中にいることを念頭に置きましょう。

 

要するに、ストレスが相手の言動をきつい態度や言葉にさせているのであって、本心ではない可能性があることを理解する、ということです。

 

その上で、下記の3つを順番に実践してみてください。

 

感情の裏にある相手への期待や欲求に気づく

 

怒りや落胆、悲しみという感情が発生する背景には必ず理由があります。

 

例えば、食事の準備を手伝いもしない夫に頭にきているとしたら、その怒りの裏には「手伝ってくれるかもしれない」という期待や「毎日頑張ってくれていることを理解してほしい」などの承認欲求があるはずです。

 

育児をしないと責め立てる妻に腹が立つとしたら、その怒りの裏にあるのは「指示やヘルプを出してくるだろう」という妻への期待や「そんな言い方をされたらやる気を失うことを分かってほしい」という承認欲求です。

 

自分で自分の気持ちを認識し、受容することで冷静にその事柄を捉えることにつながります。

 

“Iメッセージ”で相手に気持ちを伝える

 

自分の気持ちを確認できたら、「私は○○だと感じている/思っている」という風に“Iメッセージ(主語をIにして伝える方法)”で伝えるようにしましょう。

 

「そんな風に言われたら誰だってイラっとするにきまってるでしょ」の場合はそんな風に言われたら私は理解されていないんだな、って悲しく感じるよ」といった具合に言い換えられます。

 

相手に気持ちを伝えるときには「一般的なこと」ではなく、「私個人の考え」を伝えることがとても大切です。

 

相手の意見も聞いた上で、歩み寄れることを見つける

 

そして、相手の気持ちを聞きましょう。

 

「あなたはどう思う?」、この一言でOKです。自分の意見を訊いてもらうと尊重されているように感じるものです。

 

両者を尊重するコミュニケーションの中で、受容できることや歩み寄れることを話し合って、お互いが納得できる着地点を見つけてください。

 

 

アフターコロナの夫婦関係はどうなる?

緊急事態宣言が解除されても、すでに冷めている夫婦関係が戻るのかどうか、不安な方もいるのではないでしょうか。

 

先ほどお伝えしたように、今はまだ新しい生活に慣れておらず、高ストレスの状態です。

 

このことを理解した上でコミュニケーションを取ることができれば、元に戻ること、さらにはよりよい関係を築くこともできると感じています。

 

 

カウンセラーからのアドバイス

 

緊急事態宣言が解除されても「ビフォアーコロナ」の日常は戻ってこないことが予想され、一定の緊張感(=ストレス)を持った生活が求められます。

 

夫婦でより良い関係を築くためにも、家族でこの状況を共に乗り越えていくためにも、今一度夫婦のコミュニケ―ションの在り方を見つめ直すきっかけにしていただけたらと願っています。

 

※DVが疑われるような暴言や暴力を受けている方は、コラムを参考にするのではなく、直ちにしかるべき相談先へご相談されることを強くお勧めいたします。

 

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監修:カウンセラー 今井 さいこ