花粉の最盛期が過ぎ、雨の多い時期になりました。梅雨は高温多湿が続くためカビやダニが繁殖しやすく、アレルギー性鼻炎でつらい思いをする人もいると思います。
そんなアレルギー性鼻炎の治療法といえば飲み薬ですが、実は貼り薬(テープ薬)もあるのはご存知でしょうか。今回は、あまり知られていないアレルギー性鼻炎の貼り薬についてご説明します。
アレルギー性鼻炎の原因と治療法
アレルギー性鼻炎とは、鼻の粘膜に入った異物を排除しようとする反応が過剰に起こり、おもに鼻水、鼻づまり、くしゃみといった鼻炎症状が続く状態をいいます。
鼻炎症状のほか、眼のかゆみ、のどのかゆみ、肌荒れなどが伴うことがあります。
アレルギー性鼻炎の原因
アレルギー性鼻炎の原因として最も多いのは花粉で、成人のアレルギー性鼻炎の患者の約90%が花粉症といわれています。
花粉の種類としては、スギ花粉症が最も多く、次いでイネ科花粉症、ブタクサ花粉症の順となっています。
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花粉以外のアレルギー性鼻炎の原因としては、家の中のホコリやエアコンなどのカビ、ペットの毛、ダニなど、ごく身近な場所にも潜んでいる場合もあります。
また、アレルギー症状を悪化させるものとしては、大気汚染、偏食、ストレス、疲れなどが挙げられます。
アレルギー性鼻炎の治療法
治療薬としては、かゆみを引き起こすヒスタミンを抑える抗ヒスタミン薬(第一世代、第二世代)の飲み薬がメインであり、必要に応じて、点鼻薬、点眼薬などを併用します。
アレルギー性鼻炎の貼り薬(テープ薬)とは?
2018年に世界で初めて、抗ヒスタミン薬の貼り薬(テープ薬)である「経皮吸収型エメダスチンフマル酸塩(商品名アレサガテープ)」の販売が日本で承認されました。
使用方法としては、1日1回、胸部、上腕部、背部または腹部に貼付して、24時間ごとに貼り替えます。
現在は、アレルギー性鼻炎に対する使用のみが保険適応となっています。
貼り薬(テープ薬)のメリット・デメリットは?
アレルギー性鼻炎の貼り薬(テープ薬)のメリット
〇1日1回の貼り替えという簡単な方法で24時間安定した効果が得られること
〇飲み込む力が低下した方や誤嚥(ごえん)リスクのある方にも使用できること
〇服薬状況を家族や介護者など周りの人が目で見て確認できること
〇食事の影響を受けないこと
アレルギー性鼻炎の貼り薬(テープ薬)のデメリット
〇副作用があること
臨床試験で副作用が確認されています。
主なものとしては、適用部位紅斑(赤色の斑点・10.9%)、適用部位そう痒感(貼った部分のかゆみ・4.5%)、適用部位丘疹(皮膚のブツブツ・2.0%)および眠気(4.9%)などです。
つまり、テープを貼った部位がかぶれる可能性があるのです。そのため、貼る場所は毎回替えるのがいいでしょう。
また、眠気については、車の運転は避けるように注意書きがあります。
貼り薬(テープ薬)はどこで入手できる?
前述のように、貼り薬はアレルギー性鼻炎に対する処方薬です。
そのため、まずは耳鼻咽喉科を受診して、アレルギー性鼻炎の診断を受ける必要があります。
アレルギー性鼻炎の診断のためには、必要に応じて以下が行なわれます。
問診
いつ発症したか、どのような症状か、環境や季節による症状の変化があるか、などの聞き取り
鼻鏡検査
鼻の中の粘膜や鼻水の状態の診察
鼻汁好酸球検査
鼻水を採取して行う検査
アレルギー検査
皮膚テスト、血液検査、鼻誘発試験(鼻の粘膜にアレルギーの原因となる物質を近づけて反応を見る検査)
上記の診療の結果、アレルギー性鼻炎と診断された場合は医師と相談の上、必要に応じて貼り薬が処方されます。
まとめ
アレルギー性鼻炎初の貼り薬(テープ薬)は、1日1回の貼り替えで効果が持続する薬です。
鼻炎症状で困っていて貼り薬に興味のある人は、耳鼻咽喉科で相談してみましょう。