これからの季節で懸念されるのが「熱中症」です。今回は、熱中症の中でも盲点になりやすい室内での熱中症について解説します。
熱中症の原因と症状
人間の体内では常に熱が作られていて、それが汗などを通じて外に排出されていきます。
しかし、あまりにも暑い環境に居続けたり水分が不足したりすると、熱を逃がすために重要な「体温調節機能」が狂ってしまいます。
すると、通常時よりも体温が上昇しさまざまな不調が生じるようになります。
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室内でも熱中症になる理由は?
熱中症というと炎天下の野外で起きるイメージがありますが、最近は「室内熱中症」も増えていると言われています。
室内でも、エアコンなどを適切に使わないと温度は上昇してしまいます。
また、窓を閉め切ってしまうと熱がこもったり、通気性が悪くなりやすかったりするために、むしろ屋外よりも熱中症が起こりやすくなることもあるのです。
摂取できる水分の少ない乳幼児や、体温調節機能が低下している体調不良の方、また、暑さを感じにくくなっている高齢の方などは自分でも気付かないうちに熱中症になってしまう可能性があるので注意が必要です。
室内での熱中症を防ぐ対策を教えて!
では、室内熱中症を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。
28度はエアコンの設定温度ではなく、室内温度
エアコンは適切に使い、室内の温度が高くなりすぎないようにしましょう。
よく聞かれる温度の基準として「28度」がありますが、これはエアコンの設定温度ではなく、「エアコンを効かせた結果、室内の温度を28度以下にする」ということなのです。
また、近年は異常気象によって予想を超える暑さの日も増えてきています。
設定温度に固執せず、エアコンを十分に活用して自分が快適だと思う室内の温度まで下げましょう。
一方、冷え過ぎることが心配な方は、風量を弱くするなどの対策を取るとそうした心配も軽減できると思います。
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適度に換気をする
暑い日が続くと少しつらいときもあるかもしれませんが、窓を開けて換気を行うことも大事です。これは新型コロナ対策にもなります。
その際、扇風機や送風機をうまく活用してみてください。また、日が昇りきっていない朝方や夕方など涼しい時間を狙うのもいいでしょう。
もちろん、暑い中無理に外の空気を入れる必要はありません。エアコンの使用と並行しつつ、できる範囲での換気を心がけてみてください。
疲労回復や冷えグッズを活用
夏バテや疲労回復を防止するためのアイテムを活用していくのも、暑い夏を乗り切るための工夫になります。
疲労回復に効果のあるクエン酸が豊富な、柑橘類や梅のジュースなどがおすすめです。
また最近は、職場のデスクに設置できるような小型のUSB扇風機、冷感タイプの寝具などさまざまな「冷え」グッズも出ていますので、取り入れるのもいいのではないでしょうか。
室内で熱中症になった場合の応急処置は?
対策を講じても熱中症のリスクを0にすることはできません。
熱中症を発症し全身のだるさ、意識がもうろうとするなどの症状が出現した場合には、とにかく涼しい環境に体を移し、氷などを充てて冷やすことが大切です。
可能ならば水分も摂取し、そのうえで、すぐに医療機関を受診しましょう。
まとめ
近年は、これまでにない暑い日が続くことも珍しくありません。
室内にいるときも含め、暑すぎる環境を避けて、適度な水分をとるなどの対策が重要になります。
万が一熱中症になってしまった場合には、冷やすことを徹底しつつ、医療機関を受診してください。
プロフィール

- 医師 赤木孝匡
- 甲府共立病院での初期研修ののち、救急医療、在宅医療、総合診療などの業務に従事。現在は浅井病院精神科での勤務を中心に、精神科外来・スーパー救急病棟、精神科訪問診療、内科合併症管理などを担当している。