指先は案外目につきやすいもの。マニキュアやネイルアート、ジェルネイルを楽しんでいる人も多いでしょう。
爪への装飾は気軽に楽しめますが、オフせず放置していると爪が浮いてきてしまい、やがてピンクの部分がなくなるといわれる爪甲剝離症の危険があるのもご存知でしょうか。
今回は医師に、爪甲剝離症や爪の健康について解説していただきました。
爪甲剝離症(そうこうはくりしょう)とは?
爪はそもそも何のためにあるの?
爪は、髪の毛と同じケラチンというタンパク質でできています。爪も髪も表皮の角質層が特殊に分化してできたものです。
手の爪は、物をつかんだり細かい作業をしたりする際の微妙な力加減や手加減に関係しています。足の爪は、歩いたり走ったりするときに、足の蹴り出す力をすねにうまく伝えたり、体重を支えて立つ動作を助けたりしています。
爪甲剥離性の症状とは
爪甲剥離性とは、手足の爪の先の方が爪床部から浮き上がり、白く見えるような状態をいいます。爪は本来、先端部も爪の下の皮膚とよく付着しているはずですが、これが下の皮膚から遊離してしまう状態です。
まず爪の先が白く広がっていき、爪と皮膚の間に空間ができます。爪の先端から始まり根本に向かって徐々に進行していきます。
爪甲剝離症はなぜ起こる?
爪甲剝離症の原因は、先天性や遺伝性のものもごく稀にありますが、多くは後天性のものです。後天性の原因としては、外から受ける刺激、感染症、薬、日光、皮膚の病気、全身の病気などに伴いさまざまです。
・外から受ける刺激によるもの
爪と爪床の間に鉛筆の芯やトゲなどが入り怪我をした場合や、指先の細かい操作をする作業(美容師や、料理人、パソコンを使った仕事など)によるものが考えられます。また、マニキュア、洗剤、有機溶剤、ガソリンなどの化学製品も原因の一つとなります。
・感染症によるもの
カンジダ感染(カビの一種)がほとんどです。
・薬によるもの
薬を服用することが原因となる場合があります。
・日光によるもの
日光や紫外線が作用することで生じることがあります。
・皮膚疾患によるもの
乾癬、扁平苔癬、接触性皮膚炎、多汗症、薬疹、尋常性天疱瘡などが原因になる場合があります。
・全身疾患によるもの
1番多いものが甲状腺機能亢進症です。しかしそれ以外にも、甲状腺機能低下症、糖尿病、鉄欠乏性貧血、肺がん、膠原病(強皮症や全身性エリテマトーデス)、性感染症(梅毒)などでもみられます。
爪甲剝離症はどう治す?
皮膚科を受診しよう
治療は原因によって異なりますが、爪の症状から全身疾患がわかることもあります。放置せずに皮膚科を受診するようにしましょう。
爪は全身疾患のバロメーターでもあるので、医師に診断してもらいましょう。
ネイルアートは治ってから
ネイルアートはしていても問題はありませんが、爪に全身疾患が隠れている場合があり、それをカモフラージュしてしまうのはよくないので、受診するとネイル装飾を外すようにいわれることがあると思います。ネイルアートは完治してからされることをおすすめします。
最後に竹中先生から一言
女性は特に、指先が綺麗だと心も元気になりますが、ボロボロだとどうやって隠したり治したりすればよいかと気を揉むでしょう。
爪甲剥離症は皮膚科で気軽に相談できますので、気になることがあればまずは受診してみてください。
プロフィール
- 監修:医師 竹中 美恵子
- 広島大学附属幼稚園小学校中学校高等学校卒業 金沢医科大学卒業 平成23~28年 広島市民病院 小児科 神経小児科 平成28年12月~女医によるファミリークリニック 院長 日本小児科学会、日本小児神経学会、日本リウマチ学会、日本周産期新生児医学会 、日本アレルギー学会、日本小児皮膚科学会所属。 日本周産期新生児医学会認定新生児蘇生法専門コース取得。 小児慢性特定疾病指定医、難病指定医、子どもの心相談医、キレーション認定医。 レインボータウンFM 上野淳の東京夜会、広島ホームテレビ 子育て応援団、GINGER、25ans、週刊ポスト、えんじいな、広島そごう子育てコーナーコラム担当等 多数雑誌、テレビ、ラジオのメディアに出演。