甲状腺機能低下症の症状

甲状腺機能低下症の症状は、元気がなくなり寒がりになる、体温が低くなり、むくみが起きやすくなる、昼夜問わず眠気が強い、全身のだるさや倦怠感が強い、記憶力や計算力の低下が見られる、うつ状態、それほど食べてはいないのに体重が増える、無月経や月経過多などの月経障害、便秘になる、顔がむくむ、白髪が増える、髪が全体的に抜けて薄くなる、声が低音化してしわがれる、ろれつがまわらずにしゃべり方がゆっくりになる、皮膚が乾燥し夏の暑い時期でも汗をかきにくくなる、貧血、筋力低下、関節痛、筋肉痛、めまい、けいれんなどがあります。

循環器系の症状では徐脈、狭心症、心不全などがあります。変わったところでは眉毛の外側の3分の1が抜けるという症状もあります。

成長期の子どもの場合は、それまで順調だった身長の伸びが悪くなります。乳幼児期の子どもの場合は、脳の成長に影響を及ぼし知能の発達が遅れます。

甲状腺機能低下症の原因

 原発性甲状腺機能低下症の多くは橋本病(慢性甲状腺炎)からくるものです。自分の甲状腺を自分の免疫系が誤って攻撃してしまう疾患で抗サイログロブリン抗体,抗TPO抗体というものを測定します。橋本病ですとこれらが陽性となります。炎症があっても甲状腺ホルモンの値が正常の範囲ならば問題ありません。
 さらに、症例自体は少ないですが、下垂体あるいは視床下部という甲状腺ホルモンを調節するさらに上部の司令塔に当たる臓器の異常により甲状腺機能低下となることもあります。

また、外的要因ですが、甲状腺の腫瘍やバセドウ病の治療で甲状腺の切除、もしくは放射性ヨウ素投与などを行っている場合があります。ヨード自体の摂取が不足あるいは過剰になっている場合もあります。

甲状腺機能低下症の予防/治療法

日本の食事に多く含まれるヨードを多く含む海藻類(コンブ、ワカメ、ノリ、ヒジキなど)を大量に取るとヨード過剰摂取により甲状腺機能低下を引き起こす恐れがあるので控えめにすること。お料理に使う出汁にも注意が必要です。あとは海草中心のサプリメントの服用を中止することです。

また、喫煙は甲状腺ホルモンの分泌に悪影響があることが認められていますので禁煙するのが予防のひとつです。タバコに含まれる化学物質が甲状腺の働きを低下させるもの、甲状腺ホルモンの代謝機能を妨げるものがあるためです。

軽い運動を毎日の生活に取り入れることが予防には必要です。運動の習慣は成長ホルモンを促したり、ストレス解消にも役立ちます。甲状腺異常がストレスも一因といわれているので有効です。

不足している甲状腺ホルモンは豚の甲状腺から生成された甲状腺ホルモン製剤を毎日1日1回飲むことで補充し続けます。定期的に甲状腺ホルモン値をチェックして量の微調整を行います。