ふだんから多くの人が起床時に目やにが出ますが、その状態によって疑われる目の病気がわかることがあります。

今回は、目やにが出るメカニズムや、疑われる病気、ケア方法などについて、医師に詳しい話を聞いてきました。

種類

目やには、色や濃度などの状態により、いくつかの種類に分けられます。
ですが、必ずしもはっきりと分かれてはおらず「膿性でもあり、粘液性でもある」「水様性でもあり、膿性でもある」といったように病態が混在している場合もあります。

膿性眼脂


膿のような、ねたねたして白や黄色っぽい目やにで、細菌やクラミジアによる感染性結膜炎の際に見られます。

粘液性眼脂


粘液のような、ぬめっとして透明な目やにで、ドライアイ春季カタル(アレルギーが関与する重症結膜炎)の際に見られます。

水溶性眼脂


粘液のような、ぬめっとして透明な目やにで、ウイルスによる感染性結膜炎アレルギー性結膜炎雪目電気性眼炎、異物が入ったなどの物理的化学的刺激があった際に見られることが多いです。

目やにの正体

目やにはいろいろなものがが混じっています。病状によってこれらの成分の割合が異なるために、状態が異なってきます。

・涙腺、皮脂腺、マイボーム腺(まつ毛の毛根付近にある脂を分泌する腺)、結膜の分泌腺などから出る分泌液
・不要な角膜・結膜の表面細胞がはがれ落ちたもの
・血管から染み出した液
・炎症細胞
・病原体
・異物

目やにが出るメカニズム

起床中は、まばたきをすることで不要になった涙を目頭にある鼻涙管から回収し、鼻や口に流れ出るシステムが働きます。

しかし、就眠中はまばたきがなく涙の排出がされにくいため、涙の水分が蒸発し、塩分などが残りやすくなります。

また、マイボーム腺から出る脂分は蝋のように固まりやすく、目やにとして残りがちです。マイボーム腺分泌液が多いと、「目が覚めたら目が開かない」というほど硬い目やにになることもあります。

目の病気と検査

朝は目やにが出ても、洗顔したら以後は出ない。あるいは、左右の目ともに同じ程度の状態であれば、あまり病気の心配はないでしょう。

もしも、左右どちらかだけやにが出ている場合や、一日中ずっと出ている場合は病気が疑われるので、眼科での検査が必要です。以下のような検査を行う場合があります。

・目の表面を顕微鏡で見る検査
・目やにを培養し、細菌がいるか調べる検査
・(アデノウイルスによる結膜炎を疑われる場合)インフルエンザの検査と似たような迅速検査

ケア方法

目やにが多いときや、状態が違うとき、不潔な手で触るとさらに別の細菌やウイルスを目に入れてしまうことがあるので、触らないようにし、人工涙液やおしぼりでケアしましょう。

人工涙液


朝は枕元に「人工涙液」を準備しておき、それで少しずつ目やにをふやかすようにしながら目やにを除去しましょう。

おしぼり


また、暖かいおしぼりを目の上に載せて温めるのもよいでしょう。

注意点

目やにの多い目に触れた手で、ドアノブ、パソコンのキーボードやマウスなどに触れると、目やに・涙を付着させる恐れがあります。ウイルス性結膜炎の場合は、目やにによる感染拡大にもつながりますので、外出中は目を触らないようにしましょう。

また、目やにが特に多いときは、コンタクトレンズの装用、プールや温泉や銭湯の利用は控えましょう。

医師からのアドバイス

朝、起床時に目やにがついていることは年齢を問わずよくあることです。必ずしも異常ではありませんが、いつもと状態が違うときは気をつけましょう。

(監修:Doctors Me 医師)