花粉症の症状が続くと、なんだか疲れやすい、なんとなく調子が出ないと感じている方も多いのではないでしょうか?
じつは、花粉と戦っている体には、鼻水や目のかゆみだけでなく他の部分にも様々な負担がかかってしまっているのです。
花粉症シーズンの後半戦を乗り切るためにも、花粉症による意外な影響をおさらいしておきましょう。
その1 鼻水による影響
花粉症によって鼻水が出るのは、鼻の粘膜についた花粉を洗い流すためです。風邪をひいたときと違って、下を向いたら垂れてしまうようなサラサラとした鼻水が特徴的です。
皮膚のかぶれ
鼻水が続き、ティッシュなどで鼻を抑える回数も多くなると、摩擦によってかぶれなどの皮膚症状が引き起こされます。
中耳炎
勢いよく鼻をかむと耳に影響が出て、中耳炎になることもあります。
◎ワンポイントアドバイス
鼻水を頻繁にかんだり、強くかむことは体への負担につながるため、なるべく鼻水はそっと拭くように対処してください。
その2 鼻づまりによる影響
鼻づまりもまた、その花粉を外に追い出そうとする反応のひとつです。異物を体内に取り込まないようにする生体防御反応として、鼻腔(鼻の中の空間)の粘膜が腫れ、通気性が低下することにより鼻呼吸がしづらくなります。
頭痛、倦怠感
花粉症の時期には、頭痛の症状を訴える患者さんがたくさんいます。鼻づまりがある人は頻繁に鼻をかみますが、それによって鼻の中の副鼻腔に強い圧力がかかり、炎症に波及することがあります。これを副鼻腔炎といいますが、その症状として頭痛が誘発されるのです。
また、鼻づまりなどの不快な症状のため、睡眠が浅くなり睡眠不足にもなりがちです。そのため頭痛がおきたり全身の倦怠感が起きたりすることがあります。
◎ワンポイントアドバイス
副鼻腔炎を併発している可能性がありますので、改めてかかりつけ医に相談してみてください。炎症をおさえる薬を処方してもらうのもよいかもしれません。
その3 口呼吸による影響
鼻には繊毛という、鼻の中にウイルスを侵入しづらくさせる作りになっています。また、空気を温めたり(加温)、加湿したりする役割があります。
鼻づまりの症状が見られるときは、鼻での呼吸がしづらくなり、どうしても口呼吸に頼ることが増えてしまいます。とくに睡眠時は鼻が詰まっていると、より楽な空気の通り道である口での呼吸になりがちです。
お口のトラブル
口呼吸になると、鼻が持っている加温や加湿といった役割が発揮されづらくなり、口腔内が乾燥するためウイルスなどの病原菌が繁殖しやすくなります。また、扁桃腺が腫れたり虫歯になったりというリスクも高くなります。
◎ワンポイントアドバイス
口呼吸の影響を減らすためにマスクの着用をおすすめします。もちろんマスクをしていても病原菌が口腔内に侵入することはありますが、自分の吐いた息がマスク内で加湿されるので、そのまま外気を吸うよりも湿度の高い空気を吸うことができます。
その4 花粉が肌に与える影響
顔の腫れやかゆみ
乾燥肌の場合、肌のバリア機能が低下すると花粉が皮膚に対してアレルギー反応を起こしてしまい、顔全体が腫れぼったくなったりかゆみが出たりします。
◎ワンポイントアドバイス
顔の腫れやかゆみの対策としては、肌に直接花粉をつけないようにするためにメガネやマスクを着用することが有効です。
また、花粉を落とすためにゴシゴシと力強く洗顔することは、余計に肌のバリア機能を低下させてしまうのでやめましょう。ぬるま湯で泡を立てて洗顔をして、十分な保湿を心がけましょう。
最後に井上先生から一言
花粉症といえば、目がショボショボしたり鼻水がダラダラと出たりする症状が一般的かもしれません。
しかし、これは体にとって異物である花粉を体内から外に出そうとする反応でもありますので、何でもかんでも悪者扱いしないでください。
上記で紹介したように、二次的に影響が出ることもありますので、異変を感じたら花粉症の症状とひとくくりすることなく、病院を受診しましょう
プロフィール
- 監修:医師 井上 智介
- 島根大学を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び臨床研修を修了する。 平成26年からは精神科を中心とした病院にて様々な患者さんと向き合い、その傍らで一部上場企業の産業医としても勤務している。