肺がんの症状

肺がんは症状が出にくいため、早い時期に発見するのが難しい病気です。症状としては咳や痰がありますが、これはあまり気にとめない人も多いでしょう。症状があったとしても「風邪やタバコのせい」だと思って気づかないことがありますが、咳などの症状が続く場合には、医療機関を受診することをおすすめします。

また、健康診断や病院でたまたまエックス線検査を受けて異常を指摘されて発見される場合が多くみられます。またごく早期の肺がんではエックス線検査でも見つかりにくいことが多く、健康診断などのCT検査で見つかることが多いです。
  
その他の症状としては血痰(けったん)、胸や腕の痛み、顔の腫れ、呼吸困難(息切れ、息苦しさ)、声のかれ、体重減少、疲労感、38°以上の発熱などの症状があります。
このような症状はかなり進行しているの恐れがありますので、早急な受診、検査をお勧めします。

肺がんは脳や副腎などに転移しやすい癌です。脳に転移がある場合には部位によって手足の麻痺や視野障害、言語障害などを生じることがあります。

肺がんの原因

肺がんは、肺の細胞の中にある遺伝子に傷がつく(変異する)ことで生じます。傷をつける原因には様々なものがありますが、代表的なものが喫煙(受動喫煙を含む)です。

肺がんは大まかには小細胞がんと非小細胞がんにわけられます。さらに非小細胞肺がんは腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどに分類されます。喫煙と最も関連が深い肺がんは扁平上皮がんです。
  
その他にも、職業発がん性物質(アスベスト・タールや石油など)、大気汚染(車両の排気など)なども肺がんの発症率を高めることが知られています。
  
遺伝についてですが、がんは私たちが日々生活している中で徐々に遺伝子が傷つき、それが蓄積することによって発生します。生まれつき遺伝子に傷があり、がんになる人はごくまれなのです。ただし、家族にがんが多い場合には、遺伝子の傷を修復しにくい体質が遺伝している可能性があります。また、家族は似たような環境で暮らし、同じような生活習慣を持っていることが多いため、それががんの大きな原因になっていることもあります。

肺がんの予防/治療法

肺がんの予防にもっとも重要なのは喫煙をしないこと、喫煙中ならば禁煙することです。
その他、食事の際の栄養面など生活習慣の見直しも大切です。

肺がんの治療は、肺がんの種類(小細胞がんか非小細胞がんか)、がんの場所や広がり、転移の有無、全身状態などを総合して決定します。

早期で中心となるのは手術によるがんの切除です。またある程度進行したがんでは手術後に化学療法を行います。腺がんでは分子標的薬が使えることもあります。手術が難しいような進行がんでは最初から化学療法を検討します。
放射線治療は早期の小さな肺がんでは完全に治癒することが期待でき、高齢で手術が難しい方にも行うことができます。その他、化学療法と併用したり、骨転移や脳転移の治療にも用いられます。小細胞がんは悪性度が高く、脳転移がない状態でも予防的に全脳照射という放射線治療を行うことがあります。