大人喘息(ぜんそく)とは


気管支喘息は、アレルギー体質など気道が過敏になる体質がある方に起こる病気で、発作的に咳が出る・呼吸するとヒューヒュー音がする・息が苦しくなるといった症状が起こります。

風邪を引いたなどの体調の変化から発作を起こし、人工呼吸器をつけても十分に酸素を吸い込めず、窒息死する人もいます。

日本でも年間2000人程度が喘息のため死亡しています。患者の6割は大人で、小児期の喘息が治っていないのではなく、ほとんどは大人になってから発症しています。

子供のうち小児喘息を持っているのは4%、20代だと3%、40代だと2%程度です。成人後に喘息になった場合を、分かりやすく「大人喘息」「成人喘息」と呼ぶことがあります。

喘息の原因


喘息では気道が過敏になり、気道に炎症が起こります。気管支の壁で起こった炎症によって、気管支の壁を締め付けている筋肉が分厚くなり、硬い殻で包まれたようになってしまいます。

また、大人喘息・成人喘息では、血液や皮膚でのアレルギー検査で特定の原因が発見できず、過労やストレスなどが原因と考えられる場合が多いとされています。

こんにゃくやホヤを扱う職業の人に喘息が多いとも言われており、細かい粉塵が舞い飛ぶことが理由と考えられています。

発作を起こしやすくするもの


・ハウスダスト
・ダニ、カビ
・動物の毛
・特定の食品
・タバコ
・気温の変化
・香水などのにおい
・過労、風邪
・黄砂やPM2.5
・運動
・消炎鎮痛薬の内服

喘息の症状


息苦しく、胸が重い感じになり、特に深夜から早朝にかけて息をするとヒューヒューという音がし、普段からせき込みやすくなります。体を横にしているよりも起こしていたほうが楽という特徴があります。

喘息の治療法


検査


■ 血液検査
や皮膚にアレルゲンを垂らして行う検査で、原因物質が判明する場合があります。

■ スパイロメトリー(肺機能検査)
口にマウスピースをくわえ、技師の合図とともに息を精一杯吸い込んでから勢いよく吐き出し、その気流の速度や肺活量を計測する検査です。

■ レントゲンやCT
肺の状態を確認し、息苦しさや咳の原因となる他の病気を除外します。

■ 心電図
心臓の病気でも息苦しさが出るため、心電図で検査することもあります。

治療法


アレルゲンが分かった場合、それを避ける努力をします。ダニやハウスダストであれば、こまめに掃除したり、カーペットやぬいぐるみを撤去したり、布団やシーツをほこりの出にくいものに変えたりします。


■ ステロイド吸入薬、気管支拡張用の吸入薬
気道の炎症を取り、発作を起こりにくくするステロイド吸入薬を普段から使用し、発作が起こったり息苦しさを感じた場合は、気管支を広げる作用のある吸入薬を使用するのが基本となります。

■ 点滴
発作がおさまらない場合は、ステロイドや気管支を広げる薬を点滴投与します。

■ 抗体製剤
コントロールに難渋する患者の方には、炎症を抑えるための抗体製剤を4週間おきに皮下に注射する治療なども使用されています。

■ その他
痰をさらさらにし出やすくする薬、咳を止める薬も処方されます。

喘息の予防法


マスクを着用する


禁煙は重要です。細かい粉塵が飛んだり、冷たい空気を吸い込む環境に行く場合はマスクをします。香水、マニキュア、お香、アロマオイルなども誘因となることがあります。

風邪などの気道の感染症があると発作が起こりやすくなるので、風邪をひかないようにマスク着用・うがい手洗いなどに気を付けます。

喘息日記をつける


喘息と診断されたら、自分の状態を管理するために喘息日記をつけることが発作予防に有効です。

ピークフローメーターという家庭用の器具があり、息を吹き込むことで今の自分の呼吸状態を知ることができます。ピークフロー値が小さいと、勢いよく息が吐けなくなっていることを意味します。

自分のコントロール状態や、すぐに受診が必要かどうかを判断する材料になります。定期的にピークフロー値を計測し、喘息日記に記載し、その時の体調や行動を記録することで、自分がどのようなときに呼吸状態が悪化するのか知ることができます。

大人になってから喘息になりやすいタイプ


大人喘息では、アレルゲンが特定されない場合が多いとはいえ、食物アレルギーアトピー性皮膚炎アレルギー性結膜炎アレルギー性鼻炎といった病気があると、喘息にもなりやすくなります。

ストレスが強くかかる方も要注意です。また、成人後喘息を発症するのは男性より女性に多く、肥満がある場合が多いとも言われています。

最後に医師から一言


成人後に喘息になると、忙しさや「最近発作がないから」という理由で普段の薬や通院を怠り、季節の変わり目や風邪をひいたことをきっかけに急激に悪化することがあります。

命に係わることもある病気だという知識を持つことが重要です。

(監修:Doctors Me 医師)