頭痛に悩まされている方は意外と多いと思います。季節や天気、ストレスなどによって悪化することもある頭痛は、日常生活の大きな妨げになりますね。

 

頭痛にはいくつもの種類があり、くも膜下出血などのように命にかかわることのある激しい頭痛もありますし、風邪や寝不足などの一時的な頭痛まで非常に幅の広い症状です。

 

今回は、まだあまり知られていない頭痛の種類のひとつ「脳過敏症候群」について説明します。

 

目次

 

 

新しい頭痛の分類「脳過敏症候群」って何?

新しい頭痛の種類「脳過敏症候群」

 

2011年に国際的に提唱され、少しずつ知られるようになってきた新しい頭痛の分類として「脳過敏症候群」というものがあります。

 

現在でも、多くの方にとっては聞きなれない名称かと思います。シンプルに言うと、片頭痛など慢性的な頭痛に悩まされてきた方が、長い間鎮痛薬を常用してきたようなケースで、それを基盤としてさまざまな症状が現れることを脳過敏症候群と呼んでいます。

 

 

脳過敏症候群の症状・原因 

脳過敏症候群の症状

つらい頭痛のほかに耳鳴りがあったり、夜眠れなくなったり、気持ちが落ち着かない、頭が重だるい感じがする、といった症状が知られています。

 

脳過敏症候群の原因

前述のように、長期間にわたる鎮痛薬の使用が脳過敏症候群の主な原因と考えられています。

 

メカニズムとしては慢性的な頭痛に対して鎮痛薬を使用して一時的に痛みを抑え続けることにより、その時の自覚的な痛みは落ち着いても脳の興奮状態が持続することにより発症するのではないかと考えられています。

 

 

片頭痛や緊張型頭痛とどう違うの?

片頭痛と緊張型頭痛

 

片頭痛の特徴

片頭痛は脳の血管が拡張することによって、心臓の拍動に合わせてズキズキ痛むのが特徴の頭痛になります。

 

女性ホルモンとの関連から女性に多いとされており、特に20代から40代くらいの世代の女性に多いことが知られています。

 

吐き気がしたり、光る点が見えるといった予兆がある場合が比較的多いのも片頭痛の一つの特徴といえます。

 

片頭痛の原因ははっきりとはわかっていませんが、ストレスやある種の薬剤、食物などが引き金になることもあるようです。

 

緊張型頭痛の特徴

一方、緊張型頭痛は最も広く見られる頭痛とされています。

 

頭の全体、あるいは後頭部に「帽子をかぶったような」と形容される圧迫感を伴う痛みが特徴の頭痛になります。

 

現代では、長時間の同じ姿勢でのパソコン作業などにより、首や肩の凝りに悩まされる方が増えており、これらも緊張型頭痛の原因になると考えられています。

 

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脳過敏症候群の対処・治療法

脳過敏症候群は前述のように新しい概念で疾患として広く確立したものではないため、治療法もまだ統一されたものはなく、保険適応となる薬剤などもないのが現状です。

 

ただ脳過敏症候群の多くは、つらい頭痛(片頭痛であることが多い)の発作に対して鎮痛薬を使い続けた結果として発症することが知られているため、まずは片頭痛の治療をしっかり行い発作をコントロールすることが重要であると考えられています。

 

病院へ行く目安としては、まず慢性的な頭痛に悩まされている時点で、一度専門外来に行き、頭痛のタイプや原因について精査することをお勧めします。

 

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脳過敏症候群に似た病気との混同に注意 

脳過敏症候群と似た症状の病気

 

頭の痛みという点では偏頭痛や筋緊張型頭痛と共通点はあるものの、症状や経過などにそれぞれ特徴があります。

 

鎮痛薬の長期間の使用に心当たりのある方は、ぜひ一度脳過敏症候群を疑ってみてください。

 

 

まとめ

現在、新型コロナウイルス感染症の影響などから医療機関の受診を自粛する動きもあり、少々の痛みであれば市販薬で我慢する、という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 

ただ、頭痛は命を脅かすような大きな病気が隠れている可能性もある症状です。くれぐれも軽視し過ぎないようにしましょう。 

 

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