2020年初頭から新型コロナウイルスは全世界に猛威を振るい、私たちの生活に大きな弊害をもたらしました。現在、世界中でこのウイルスに立ち向かうための医療開発が急ピッチで進められています。

 

目次

 

新型コロナウイルス感染症の現在の流行状況

日本国内の新型コロナウイルス感染状況

新規感染者数は過去最高水準(2020年12月17日時点 国内3211人)が続き、最大限の警戒が必要な状況です。特に、北海道や首都圏、中部・関西圏を中心に新規感染者が多数発生しています。

 

入院者・療養者数(2020年12月17日時点 国内25287人)、重症者数(2020年12月17日時点 国内605人)の増加、死亡者数(2020年12月17日時点 国内38人)も増加しています。

 

新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れるために、人員・病床が簡単に補充ができない中、医療体制のひっ迫が各地で見られ始めています。

 

20−50才台の社会活動が活発な世代の感染者数がその他の世代と比べ、多くなっています。こうした世代では感染しても無症状や軽症のことが多いため、知らないうちに感染拡大につながっている可能性があります。

 

厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」

 

世界の新型コロナウイルス感染状況

世界全体の新規感染者数(2020/12/17, 5:05pm CET)は約64万人となり、新規死亡者は約1.2万人にて増加しています。

 

最も新規感染者数が多いアメリカ(約20万人)に続き、ブラジル(約4万人)、ロシア(約2.8万人)、イギリス(約2.5万人)、インド(約2.4万人)と各国で感染者は増えている状況です。

 

WHO Coronavirus Disease (COVID-19) Dashboard

 

 

新型コロナウイルス感染症のワクチン開発、どこまで進んでいる?

新型コロナのワクチン開発

 

新型コロナウイルス感染症ワクチンとして、以下のワクチンが開発中です。

 

不活化ワクチン、組換えタンパクワクチン、ペプチドワクチン

不活化した新型コロナウイルスの一部やウイルスの一部のタンパクを人体に投与し、それに対して免疫が出来る仕組みです。

 

メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチン

新型コロナウイルスの遺伝情報をそれぞれmRNA・DNAプラスミドとして、あるいは別の無害化したウイルス等に入れ、人に投与します。

 

それが人の細胞に入ってウイルスのタンパク質を作ることで、それに対する免疫が出来る仕組みです。

 

ワクチン開発をしている製薬会社

ファイザー(米)

mRNAワクチンを開発。現在、実際にイギリス・アメリカで接種開始されているワクチンを開発した製薬会社です。

 

同社は2回のワクチン接種で90%の感染予防効果があると報告しており、日本での治験は2020年10月から実施されています。このワクチンは-60~-80度であれば最大6か月間保存できますが、通常の冷蔵庫程度の2~8度では保存期間は5日間とされています。

 

英国で2名で重篤な副反応を示したと報告されており、現在原因を調査中です。

 

モデルナ(米)

mRNAワクチンを開発。94%の感染予防効果があると同社から報告されました。-20度で最大6カ月間保存でき、標準的な冷蔵庫でも最長1カ月間保存できるといわれています。

 

12月18日にアメリカで承認され、ワクチン接種開始予定です。

 

アストラゼネカ(英)

ウイルスベクターワクチンを開発中。日本での治験は2020年8月から実施されています。

 

 

日本でワクチンが受けられるのはいつ?

ファイザー社はワクチンの日本国内での使用に向け、2020年12月18日厚生労働省に承認を求める申請を行いました。審査を大幅に簡略化する「特例承認」の適用を求めています。

 

また、来年6月末までに6000 万人分のワクチンの供給を受けることを日本はファイザー社と基本合意しているため、早ければ、来年6月までにはワクチン接種が開始されることになります。

 

また、厚生労働省はすでにモデルナ・アストラゼネカの2社と、ワクチン開発に成功した場合、ワクチンの供給を受けることについて契約を締結しているので、これらの承認や有効性の結果を待っている状況です。

 

 

どんな人がワクチンを優先して受けられるの?

ワクチンの優先順位

 

国は全国民に提供できるワクチンの数量を確保することを目指していますが、一度に全国民分のワクチンは生産できず、接種対象者に一定の接種順位を決めて接種する必要があります。

 

そのため、国は、新型コロナウイルス感染症患者に直接医療を提供する施設の医療従事者等や、重傷化リスクの高い高齢者及び基礎疾患を有する者に優先して接種する方針としています。

 

 

新型コロナウイルス感染症治療薬の開発は?

治療薬として、以下の3剤が現在承認されています。

 

レムデシビル(2020年5月7日特例承認)

エボラ出血熱の治療薬として開発されたRNAポリメラーゼ阻害薬です。中等~重症患者にレムデシビル投与した場合、偽薬を投与した人と比べ、回復までの期間が5日間短かかったと治験で報告されています。

 

デキサメタゾン

もともと、重症感染症や間質性肺炎などの薬として国内で承認を取得している、ステロイド薬です。

 

現在、新型コロナウイルス感染症の標準的な治療法とされています。

 

英国の大規模臨床研究において、新型コロナウイルス感染症患者のうち、人工呼吸器の装着が必要な患者とそれ以外で酸素投与が必要な患者のそれぞれの死亡率を下げたと報告されています。

 

ヘパリン

抗凝固薬で、新型コロナウイルス感染症の患者では、サイトカインストームや血管内皮障害などにより血栓のリスクがあるため治療薬として使用されています。

 

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それ以外に候補治療薬のアビガン(新型又は再興型インフルエンザとして国内で承認を取得している、RNAポリメラーゼ阻害薬)は、現在承認申請待ちをしている状態です。

 

 

まとめ

新型コロナの感染予防

 

ワクチン接種の開発は着実に進んでいますが、まだすべての人に接種するには時間がかかります。

 

新型コロナウイルスの蔓延を抑えるために、一人一人、感染対策を徹底することが重要です。

 

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参考:

厚生労働省「新型コロナ治療薬、ワクチン等の開発」

https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kansenkakudaiboushi-iryouteikyou.html#h2_8

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html

厚生労働省「新型コロナ治療薬およびその候補」

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000701593.pdf

厚生労働省「感染拡大防止と医療提供体制の整備」

https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kansenkakudaiboushi-iryouteikyou.html#h2_8