胃粘膜下腫瘍の症状

小さな良性の胃粘膜下腫瘍の場合、大抵自覚症状はありません。そのため健康診断時の胃カメラ等で発見されることが多く、胃カメラ検査を受けた人のうち、100人中3人は良性の胃粘膜下腫瘍が見つかる、という程度の確率になっています。
 
胃もたれや不快感、みぞおち周辺の痛み等を感じることもありますが、慢性胃炎の影響で胃粘膜に異常が発生した結果、腫瘍を生じるケースもあり、不快感や痛みが良性の胃粘膜下腫瘍そのものによるものかどうかの判断は難しい部分があります。
  
大きくなってくると出血の可能性が増え、結果吐血や便に血が交じるといった症状につながることもありますが、「増大がみられる」という時点で良性腫瘍ではなく、「悪性の疑い有り」として扱われます。

胃粘膜下腫瘍の原因

胃壁の構造は、胃の内側から順に、1.粘膜層、2.粘膜下層、3.筋層、4.漿膜層、となっています。胃粘膜下腫瘍はこのうち、粘膜下層か筋層に発生した腫瘍が、粘膜を押し上げる形でポリープに似た状態を擁しているケースを指します。良性の胃粘膜下腫瘍の原因は、
・筋層の平滑筋にできるコブのような腫瘍
・筋層に生まれつき迷いこんでいた脾臓の組織である「迷入膵」
・神経系の細胞にできる腫瘍
・何らかの影響で組織球が増殖してしまうことによってできる「好酸球性肉芽腫」
が大部分を占めていますが、中には原因が特定できない腫瘍もあります。いずれにしても胃粘膜下腫瘍が良性であるかどうかは、原因よりも腫瘍の大きさや湿潤に基づいて判断され、経過観察が重要となります。

胃粘膜下腫瘍の治療法

性質上、良性の胃粘膜下腫瘍の発生を、何らかの予防措置で回避することは難しいといえます。しかし粘膜の下にあることから、内視鏡検査であっても良性か悪性かの判断が難しいこともある胃粘膜下腫瘍は「早期発見と経過観察」が悪性腫瘍の進行の予防につながります。
  
悪性の胃粘膜下腫瘍の進行を予防するためには、健康診断等内視鏡検査の機会を利用すること、もし胃粘膜下腫瘍が発見され、それが良性であると判断された場合には、医師の見解にそって定期的に検診を受け、大きさや増大傾向について経過観察を行うことが必要です。