過敏性腸症候群(IBS)の症状

過敏性腸症候群の症状は、主に3つに分かれます。以下に当てはまらない場合は、分類不能型と呼ばれます。

下痢型


何らかの働きで腸のぜん動運動が激しくなり、大腸での水分吸収が行われないままの便が排出されて下痢になります。

便秘型


腸のぜん動運動がゆっくりとなり減少し、内容物が大腸に長く留まるために水分が吸収されすぎて小さく硬い便になります。

また、大腸にあるS状結腸が異常な収縮運動を起こして便をせき止めてしまうため、便が出にくく、ウサギのフンのようなコロコロした便になります。

混合型


下痢と便秘の症状が繰り返し起こります。

共通する症状


どのタイプにも共通するのが、緊張やストレスを感じたときに腹痛・便意などの症状が出ることです。通勤中や大事なプレゼンの前などにトイレに駆け込みます。

そして、排便が済むと腹痛や不快感が軽くなるという特徴があります。また、就寝時には腹痛は起こりません。これらの症状が、1カ月に3日以上あり、それがここ3カ月ほど続いている場合は過敏性腸症候群が疑われます。

20代〜40代の発症が多いため、仕事に支障をきたさないように市販薬で済ませる人もいます。しかし、症状が続く場合は、日常生活に支障をきたてしまいます。たかが下痢・便秘と考えずに消化器内科を受診してください。

過敏性腸症候群(IBS)の原因

過敏性腸症候群では、便の検査やレントゲン、内視鏡検査などをしても、器質的な異常は見つかりません。

胆汁酸、短鎖脂肪酸、消化管ホルモンなどの過剰状態や食物アレルギー、神経伝達物質の異常などがベースにあり、腸が敏感になっているうえで、心理的ストレスが加わって発症していると考えられています。

過敏性腸症候群(IBS)の治療

主に生活習慣の改善を行いつつ、薬物療法をします。

薬物療法


腸の動きを抑える薬や、正常に動くようにする薬など、消化器の運動機能に働きかける薬を内服します。そのほかに、症状によっては、抗アレルギー薬や漢方薬、抗うつ薬や抗不安薬などで改善していきます。

食事療法


症状を悪化させやすいアルコールやコーヒー、香辛料、脂質の多い食事などを控えます。乳糖不耐症の場合は、牛乳やヨーグルトを食べないようにします。

運動療法


過敏性腸症候群には、運動が効果的です。日常の動作(歩く、立つ など)以外の運動を行うと、交感神経が優位となり、運動後は副交感神経が優位となります。

腸の運動は自律神経系が行うため、交感神経、副交感神経が活発になると刺激を与えることができます。定期的な運動はストレスの発散にも役立つのでぜひ取り入れてみましょう。