首のむくみとは
首のむくみがあるように見えるときは、甲状腺が何らかの原因により腫れていることがあります。甲状腺の腫れをともなう病気には橋本病(慢性甲状腺炎)やバセドウ病、亜急性甲状腺炎や甲状腺腫瘍などがあります。 また、お腹の赤ちゃんの首のむくみはダウン症などの遺伝子疾患や先天性心疾患の可能性を示す一つの指標と言われていますが、お腹の赤ちゃんに首のむくみが見つかったからと言って、必ずしも病気があるというわけではありません。
首のむくみの症状と原因
首がむくんでいるように見えるときは、甲状腺が腫れていることがあります。甲状腺はのどぼとけの下にあり、新陳代謝を活発にするなどの働きをする「甲状腺ホルモン」を作っている臓器です。
甲状腺の腫れをともなう病気には、以下のようなものがあります。
橋本病(慢性甲状腺炎)
甲状腺に慢性の炎症が起こっているために甲状腺が腫れ、首の圧迫感や違和感を感じることがあります。
炎症により甲状腺の組織が壊されていくと、甲状腺ホルモンが作られにくくなる状態である「甲状腺機能低下症」になることがあり、無気力や疲れやすさ、全身のむくみや冷え、体重増加などの症状が現れます。
橋本病(慢性甲状腺炎)は、細菌やウイルスなどから体を守る働きをしている免疫が、自分の臓器や細胞を標的として攻撃してしまうことで起こる「自己免疫疾患」のひとつです。
バセドウ病
甲状腺が腫れ、動悸や体重減少、疲れやすさや情緒不安定、暑がりになる、目がとび出てくるなどの症状をともないます。
自己免疫疾患のひとつで、甲状腺が刺激された結果甲状腺ホルモンが過剰に分泌される「甲状腺機能亢進症」という状態を引き起こします。
原因はわかっていませんが、体質や何らかのウイルスへの感染、ストレスなどの関与が指摘されています。
亜急性甲状腺炎
甲状腺が炎症のために腫れ、発熱や痛みなどをともないます。甲状腺ホルモンが過剰に作られるために全身のだるさや動悸、多汗などの症状が現れることがあります。
風邪の後に起こることが多く、ウイルス感染や体質などの要因によっても起こると考えられています。
甲状腺腫瘍
甲状腺に良性または悪性の腫瘍ができている状態で、腫瘍が大きくなると甲状腺全体が腫れたり、甲状腺にしこりが見られたり、首の前面に違和感を感じたりすることがあります。
原因ははっきりとはわかっていませんが、甲状腺がんの一部は遺伝が関係して起こることが知られています。
首のむくみの治療
以下のような治療が行われます。橋本病(慢性甲状腺炎)
不足している甲状腺ホルモンを補う薬物療法が行われます。
バセドウ病
甲状腺ホルモンの働きを抑える薬を服用します。
また、放射性ヨウ素のカプセルを服用して甲状腺の組織を破壊することで甲状腺ホルモンの産生を抑える「放射性ヨード治療」、手術により甲状腺の一部または全部を摘出する方法もあります。
亜急性甲状腺炎
炎症は自然におさまりますが、痛みや熱がひどい場合などにはステロイド剤や抗炎症薬を服用します。
甲状腺腫瘍
腫瘍が良性の場合は治療せず、経過観察を行う場合が多いようです。悪性の場合は、手術により腫瘍を摘出します。
胎児の首のむくみとは
妊婦検診などで、胎児の首のむくみが指摘されることがあります。胎児の首のむくみが、ダウン症候群のような染色体異常や心臓の先天的疾患などの可能性を示す指標のひとつであると考えられているためです。
しかし、胎児の首のむくみは必ずしも異常を示すものではありません。妊娠の週数が進むにつれて胎児の首のむくみがなくなることもあれば、胎児のときに首のむくみを指摘されても赤ちゃんが健康に生まれてくる場合もあります。
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