月経前症候群/PMSとは
月経前症候群は月経前に起こるイライラや食欲増進、頭痛などの不快な症状のことです。生理が始まると自然に不快な症状は治まります。 Premenstrual Syndromeの略からPMSと略されることもあります。 月経前症候群の程度も対処の仕方も個人差があります。女性の月経周期にともなって起こるため、女性ホルモンが関係していると考えられていますが、その明確なメカニズムは解明されていません。 生理前になると急にイライラすることで日常生活に支障をきたすほどの症状に悩む人もいます。症状に個人差はありますが、多くの女性が同じような悩みを抱えています。
月経前症候群/PMSの症状
月経前症候群(PMS)に分類される症状には、痛みを伴うものや精神的に影響のあるものなど、人によりさまざまなものがあります。主な月経前症候群の症状
1) 腹痛や張り
プロゲステロンというホルモンが増えることによる子宮の収縮運動が原因で、お腹のまわりが月経と同じように重く痛むことがあります。
2) 便秘や軟便
3) 乳房が張る
乳房が硬く感じる、乳房が張って痛むといった胸の痛み。月経に伴うホルモン量の変化で、乳腺が腫れることで起こります。出産・授乳を経験していない女性に多い傾向があります。
4) 肩こり
5) 腰痛
6) ニキビや肌荒れ
月経前に皮脂が過剰に分泌されることによるニキビや吹き出物、肌のかゆみなどがあります。
7) 頭痛
セロトニンというホルモンが減少し血管が拡張することで起こる「脈打つようなズキズキとした痛みを伴う頭痛」です。
症状のひどい人では、頭をしめつけるような強い痛みで寝込んでしまうことや、吐き気を伴う場合もあります。
精神的な月経前症候群の症状
1) イライラして怒りっぽくなる
月経前のホルモンバランスの乱れによるもので、セロトニンという精神の安定を促すホルモンが減少して精神的に不安定になることが原因とされています。
2) 理由もなく悲観的になる
月経前には憂鬱感が強くなるという人もいます。これはイライラなどと同じくホルモン量の変化が直接の原因であるだけでなく、さまざまな身体に起こる変化で、すべてにおいてやる気が出ない、あるいは眠気でぼーっとしてしまうという状態が続くことが、間接的な原因とされています。
3) 集中力が低下
4) 疲労感
5) 不眠や極端な眠気
月経前は体温が上昇することで、夜熟睡しにくくなったり、夜しっかりと眠っているのに日中でもだらだらと眠気が続くことがあります。
6) 食欲過剰
月経前になると妊娠していない場合でも、体が妊娠に備えて栄養を溜め込もうとするために、充分に食べているのにもっと食べたいと感じたり、普段以上に甘いものや脂っこいものなど、高エネルギーな食事を求めるようになります。
実際には食欲にまかせた食事をするのもためらわれる為に、こうした過剰な食欲が大きなストレスになることも多いとされています。
月経前には、このようなさまざまな身体的・精神的な症状が複合的に、さまざまな強さ・期間で起こるとされています。
そして、月経前症候群(PMS)の程度や期間には差があり、ほとんど感じない人から社会生活や人間関係に重大な支障をきたすほど強く症状があらわれる場合もあります。
症状が強い場合、本人や周囲の人にとっても大きな問題となるものです。
月経前症候群/PMSの原因
イライラしたり、気分が落ち込んで朝起きることができなくなったり、突然頭が痛み出したり、自分の感情をおさえることが難しい、といったさまざまな症状が生理前に起こることを月経前症候群(PMS)と言います。月経前症候群(PMS)は症状の出方や症状の重さも個人差によって大きく異なるため、その原因やメカニズムについてはまだ解明できていない部分が多い病気です。
また、月経前症候群(PMS)という病名ではあるものの生理を経験している女性だけが発症するというものでもなく、生理中・生理後に症状がでてくる場合もあります。
・ お酒などを飲んで夜遅くまで起きている
・ 忙しくて食事をとる時間が定まっていない
・ タバコを常習的に吸っている、など
このように、普段の生活環境が乱れていたり、仕事や人間関係によるストレスが蓄積して発散されないことが多いと、女性ホルモンのバランスが乱れる生理周期に月経前症候群(PMS)が引き起こすことが多いといわれています。
生理開始、もしくは生理開始から3~4日ほどで症状がおさまる例が多いですが、症状が表れる時期も個人差があるので発症から1日でおさまる人もいれば、月の大半を月経前症候群(PMS)に悩まされて過ごさなければいけない人もいます。
女性特有のホルモンバランスの乱れによる病気のため、男性に理解されにくく、自分のイライラを相手にぶつけてしまって不快な思いをさせてしまい、悩んでいる人も多いようです。
また、冷房が効いた室内で一日中過ごしたり、車や電車で移動することが多い方は、身体全体の血行が滞ってしまい冷え性やむくみが併発して月経前症候群(PMS)になってしまうと考えられています。
日常生活を過ごすうえで、どのような状況のときにどんな症状が出るか、そのときの自分の気分や気持ちは普段と違ってどういった変化があるか、基礎体温の変化はどうか、ふだんの食生活・運動習慣などを把握しておくと自分が月経前症候群(PMS)かどうかわかりやすくなるでしょう。
月経前症候群/PMSの治療法
月経前症候群(PMS)はその症状が生理周期にそってみられるため、ある程度予防することが可能です。基礎体温をつける
生理周期を確認し、生理を基準としていつ頃から症状が出るかを把握しておくようにしましょう。
症状が起こるころには、できるだけ心を落ち着かせる
症状がでる時期にきたら、無理は控え、落ち着いた生活を心がけてください。
暴飲暴食や睡眠不足は体に負担をあたえ月経前症候群(PMS)の悪化に繋がるのでなるべく控えるようにしてください。
規則正しく生活を送る
・ 不規則な生活リズムの改善
・ 日ごろから軽い運動やストレッチなどで血行を良くすること
・ 疲れが取れるようゆっくりとした入浴を行うこと
・ セロトニンを増やすために日光を充分に浴びること
・ 症状が出る2週間ほどの間はストレスを溜めないように意識する
・ 不足している栄養をサプリメントで補う方法や漢方薬などを使った東洋医学的アプローチを行う方法を取り入れる
食生活の変化などで、栄養不足が多くみられる現代の日本人女性には、鉄分やミネラルなどの栄養補助が効果的な場合が多く見られます。
市販薬を自分で選ぶこともできますが、専門の医療機関で血液の状態などから不足している栄養素を判断し適切なサプリメントを処方してもらうことや、東洋医学的アプローチとして、血の流れをよくしたり精神的な安定を促す効果のある漢方を処方してもらうなどの効果も期待されています。
漢方は天然の原料が用いられるため副作用の心配が低く安心して治療することができるというメリットがあります。
ただし症状が重い場合には効果が薄く、即効性は低いためゆっくりと継続的な治療に向いているとされています。
それでも治まらないときは・・・
婦人科や精神科の病院で低用量ピルや精神薬などの投薬治療を行う方法があります。
月経前症候群(PMS)の治療目的で婦人科で処方されることの多い低用量ピルは、卵巣の活動を抑えることで排卵を止めホルモンの量を整えることによって、症状を緩和することができます。
ホルモンバランスが整うことで体調と精神面両方の効果が期待できますが、特に使い始めてしばらくは体質によって頭痛や吐き気などの副作用を伴うことがあるので、注意が必要です。
また、精神科系の病院で処方される精神薬などは、主に月経前症候群(PMS)によるイライラや精神的に不安定な状態を緩和させる効果があります。
西洋医学的アプローチの場合、短期間で即効性の高い効果が期待できますが、処方には医師の判断が必要です。また、症状の緩和を持続させるためには継続的な服用が必要です。
それぞれの月経前症候群(PMS)に合った治療法で症状が改善される場合も多くありますが、同じような症状には別の疾患の兆候である場合もあるため、強い痛みを伴う場合や症状が改善されない場合は医療機関へ相談しましょう。
月経前症候群(PMS)はその原因が解明されておらず、自分自身だけで対処することが難しい場合も多く見られます。
自分自身にあった対処の仕方を見つけ、その時期をうまくやり過ごす方法を身につけるようにしていきましょう。
- このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法、専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません
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