夜間や早朝が冷え込む季節になってきました。この時期は体調に変化が生じやすく、が長引くという声もよく聞きます。

 

今回は、なぜ咳が長引くのか、咳を放っておくと危ない病気はあるのかなどについて、医師に解説していただきました。

 

 

なぜ咳が長引くのか

寒くなってきた時期の咳に注意

 

医学的には、3週間以上持続する咳を遷延性慢性咳嗽(せんえんせいまんせいがいそう)と呼びますが、その原因も様々です。

 

人体を正常に保つためには、自律神経系・内分泌(ホルモン)系・免疫系の3つのシステムがそれぞれ独自のリズムで働くと同時に、三者が相互に連携することも必要です。

 

季節の変わり目などで気温・気圧・湿度などの気象状況に変化が生じると、それぞれのリズムが乱れたり相互連携に異常が生じたりして、咳が長引いてしまうことがあります。

 

 

咳が続いた場合に考えられる病気

喘息症状で吸入する女性

 

咳が長引く場合には、以下のような疾患の可能性があります。

 

咳喘息

咳喘息は、成人女性や男児に多いとされます。気管支に炎症が起きる気管支喘息の仲間ですが、気管支喘息とは異なり乾いた咳のみの症状であり、呼気時に強いゼーゼーヒューヒューという音や呼吸困難の症状はみられません。

 

ただし放置した場合、成人の約40%が、子どもだとさらに高確率で気管支喘息に移行する可能性がありますので、治療が必要です。*1

 

咳が悪化しやすいきっかけとしては、風邪、冷気、運動、喫煙、受動喫煙、気圧の変化、湿度の変化、花粉や黄砂の飛散などが挙げられます。また、咳が長引く季節や時間帯がはっきりしているケースもあります。

 

感染症に伴う咳

病原体が喉から肺にかけてのどこかに存在する場合、気道粘膜が刺激されて咳が起こります。

 

風邪のウイルスによる頻度が高いのですが、肺結核マイコプラズマ肺炎百日咳クラミジア肺炎のように、すみやかな治療を要する感染症にかかっている場合もあります。

 

特に肺結核は、飛沫や接触のみならず空気も感染ルートになり、治療が遅れると重症化しやすい感染症です。現在は、免疫を持たない若い世代がかかりやすくなっており、東京都だけでも年間約3,000人が新たに罹患しています。*2

 

感染症「後」の咳

風邪や肺炎にかかった後、発熱・痰・倦怠感は治まり、胸部レントゲンや血液検査の上では治癒したと考えられるにもかかわらず、乾いた咳だけが残る場合があります。

 

この場合、病原体はすでに排除されていますが、病原体と闘った白血球の産物が気道を刺激して咳を長引かせます。中高年の男女や女性に多くみられ、通常は自然によくなっていきます。

 

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎に伴う咳

アレルギー性鼻炎副鼻腔炎では、治療が不十分な場合、鼻水が増えて喉に落ち、湿った咳を引き起こすことがあります。

 

アトピー咳嗽(がいそう)

アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎にかかったことのある中年の女性に多くみられ、症状は乾いた咳のみです。咳が悪化するきっかけは、エアコン、喫煙、受動喫煙、会話、精神的緊張、気圧の変化、運動などがあります。

 

症状は咳喘息と酷似しており、一旦症状が治まっても再発しやすいですが、気管支喘息には移行しにくい疾病であるということが咳喘息とは異なります*1。

 

その他にも、胃酸や胃内容物が逆流して気道や神経を刺激する胃食道逆流症や、喫煙による慢性気管支炎を初めとする肺疾患なども、咳が長引く場合に念頭に置いておきたい疾病です。

 

 

予防法

予防法としては、感染症の一般的な予防策である手洗いを徹底することが大切です。すでに咳喘息やアトピー咳嗽だと診断されている場合には、上記のような悪化因子を避けるようにする必要もあるでしょう。

 

また、咳が2週間以上続いた場合は内科を受診するようにしましょう。

 

 

最後に吉田先生から一言

内科医 

長引く咳の原因は多様であることを覚えておき、症状が出たときには注意するようにしてください。

 

参考資料

*1 咳嗽に関するガイドライン第2版 日本呼吸器学会

*2 結核 東京都感染症情報センター