胃腸の調子が悪くなったりしたときに、水のような下痢が止まらなくなってトイレに閉じこもってしまった経験をお持ちの方もいらっしゃると思われます。
もしお仕事中であったり、外出中に急に下痢が止まらないとなると非常に困りものですが、原因や良い対処方法はないのでしょうか。
今回は下痢が止まらない原因、下痢が続く場合に懸念される病気、治療方法や対処方法を医師に解説していただきました。
□ 下痢が止まらなくなるメカニズム
□ 下痢が止まらなくなる原因
□ 性別、年齢別で違う下痢が止まらなくなる原因
□ 下痢が止まらない際に注意すべき体調の変化
□ 便秘薬で下痢が止まらなくなった場合
□ 止まらない下痢によって引き起こる症状
□ 下痢がどれくらい続いたら病院へ行くべき?
□ トイレから動けない時の正しい過ごし方
□ お腹を下して困る…下痢に関するお悩み相談例
腸に流れ込んだ飲食物は、腸の動き(ぜん動運動)により腸の中をゆっくり移動していき、腸の細胞が水分を吸収して血液中に送り込みます。
水分を抜かれた便は徐々に硬くなり、肛門から排出されますので、下痢になる場合は以下のような要因が考えられます。
・腸のぜん動が早すぎて水分の吸収が追いつかない
・飲食物の内容の浸透圧が高すぎて、腸の細胞が水分を吸収できない
・腸の細胞に異常があり、水分を吸収する役割を果たせない
がんの場合、腸がむくんで便が通りにくくなり便秘になることもありますし、水分の吸収が悪くなり下痢になることもあります。
また、大腸がんからの出血が便に混ざりこみ、下痢のように見えているということも考えられます。
潰瘍からの出血が便に混ざりこみ、下痢になります。
胃や十二指腸からの出血は、胃酸と反応して黒っぽくなるので、一見血液と分からない場合があります。
自律神経の乱れが起こりやすく、下痢になる方もおられます。
甲状腺はのどの前にある小さい臓器で、ホルモンを放出しています。
ホルモンが出すぎる甲状腺機能亢進症の場合、下痢が起こるとされています。
ウイルスが腸の細胞に感染し、水の再吸収ができなくなり、下痢になることがあります。
自律神経や腸を動かす神経の血流が落ち、下痢と便秘のどちらも起こりえます。
アレルギー反応が起こると血管から水が漏れ出し、腸粘膜がむくんで機能できなくなり、下痢が起こります。
自律神経のバランスが乱れることによって、下痢が起こります。
お腹を冷やしてしまったり、油っこいものの消化能力が低いことによる下痢が起こりやすいです。
がんや、糖尿病などによる下痢が起こりやすくなります。
緊張やストレスが胃腸に出やすい方では、慢性的に下痢になる過敏性腸症候群に苦しむ方もおられます。
月経周期に伴う女性ホルモンの変動により、特に月経前や月経中は下痢になりやすくなります。
嘔吐もあると脱水症状が出やすくなります。尿が出ない、意識がもうろうとするといった脱水症状がある場合は、点滴での水分補給が必要です。
強い腹痛を伴う場合、血液が混じっている場合、海外に行ったことがある場合は赤痢、コレラなど特殊な感染症の可能性もあります。
下痢の色が白っぽい場合、肝臓や胆のうの病気が疑われますので、内科や消化器内科の受診が必要です。
便秘薬の働きが強すぎると、逆に下痢になってしまいます。
便秘薬を内服しなくなれば、薬が体から排出され、下痢は回復します。
便はアルカリ性で皮膚や粘膜を刺激し、腸内細菌を含んでいますので、一旦肛門に傷がつくと便の刺激や感染で痔になりやすくなります。
尿が出ない、皮膚の張りが低下し粘膜がカサカサしている、意識がもうろうとしたり頭痛がするといった症状が起こります。
便に電解質やイオンが失われることで、低カリウムやアシドーシスといった血液異常になることがあります。
カリウムが低くなると手足の先や唇の周りがしびれたり、筋肉に力が入りにくくなります。
2週間以上下痢が続く場合、慢性的な下痢と呼ばれます。
2週間以上続く場合は一時的な体調不良とは考えにくく、原因究明と対処が必要ですので受診してください。
吐いたらすぐにビニールの口を縛ることで、ウイルス性の胃腸炎であった場合にもウイルスの拡散、他人への感染を防ぐことができます。
また、下痢便をトイレで流す場合は、蓋を閉じてから水を流すことで、ウイルスが飛び散るのを防ぐことができます。
■ 相談者(29歳/女性)
1歳0カ月の息子が、昨日今日と下痢です。ツーンとする匂いがし、水のような黄色い下痢が、1日3〜4回出ています。
熱はなく機嫌もよく、食欲旺盛です。湿疹もでていません。
明日も下痢が続くようなら、小児科に連れていったほうがいいですか?
■ 医師からの回答
家で観察していただくポイントとしては、以下のような事項があります。
・下痢の色が白色、または赤色になった
・不機嫌かどうか
・発熱または嘔吐がある
・意識がはっきりせず、よく泣く
・6回以上下痢が続く
・おしっこの回数が減った
上記のことをよく観察し、ご心配な点があるようでしたら病院受診をお考えください。
また、腸に負担のかからない白湯や赤ちゃん用のイオン水を飲ませてあげてください。
■ 相談者(28歳/男性)
家族旅行で観光地のホテル泊まり、夕飯は焼き肉食べ放題で鶏肉、牛肉を主に食べ、それ以外はアイスやスイーツを食べ、満腹一歩手前まで食べ続けました。
途中で腹痛が始まったため、食事を中断してトイレに駆け込んだところ、初めは硬い便が出てそのあと水のようにでました。少し気持ち悪いだけで、熱はありません。食べ過ぎによる食あたりかと心配しています。
もし、食あたりであったら市販の下痢止めは飲んではいけませんか。
■ 薬剤師からの回答
一般的に食あたりのときは下痢止めは飲まない方がいいと言われています。
理由は、下痢どめを飲むと細菌が排出されずにお腹の中にとどまる時間が長くなって、結果的に症状が長く続いてしまう原因になるからです。
ただし10回、20回も下痢をするようであれば脱水の危険もあるので、注意しながら下痢止めを使用することはあります。
■ 相談者(37歳/女性)
朝から吐き気と下痢で水状態でざぁーっと出ます。熱は微熱なんですがあります。
夕方になり仕事もあるので電車へ乗ったところ駅で嘔吐を少ししました。
ここ3週間位咳が止まらないのとも関係あるのでしょうか?風邪の症状なのでしょうか?
■ 医師からの回答
風邪のウイルスがお腹に入って胃腸炎をおこしてしまうと、嘔吐、嘔気、下痢の症状が出ます。
少し前に咳が出ていたということですので、おそらく風邪のウイルスによる胃腸炎ではないかと思われます。
一般的なウイルス性胃腸炎の場合、整腸剤を内服していただくことが多いですが、基本はお腹を安静にすること(消化によいものを食べること)がメインとなります。
緊急で病院を受診する必要はないと思いますが、受診するのでしたら内科でよいです。
もしお仕事中であったり、外出中に急に下痢が止まらないとなると非常に困りものですが、原因や良い対処方法はないのでしょうか。
今回は下痢が止まらない原因、下痢が続く場合に懸念される病気、治療方法や対処方法を医師に解説していただきました。
目次
□ 下痢が止まらなくなるメカニズム
□ 下痢が止まらなくなる原因
□ 性別、年齢別で違う下痢が止まらなくなる原因
□ 下痢が止まらない際に注意すべき体調の変化
□ 便秘薬で下痢が止まらなくなった場合
□ 止まらない下痢によって引き起こる症状
□ 下痢がどれくらい続いたら病院へ行くべき?
□ トイレから動けない時の正しい過ごし方
□ お腹を下して困る…下痢に関するお悩み相談例
下痢が止まらなくなるメカニズム
腸に流れ込んだ飲食物は、腸の動き(ぜん動運動)により腸の中をゆっくり移動していき、腸の細胞が水分を吸収して血液中に送り込みます。
水分を抜かれた便は徐々に硬くなり、肛門から排出されますので、下痢になる場合は以下のような要因が考えられます。
・腸のぜん動が早すぎて水分の吸収が追いつかない
・飲食物の内容の浸透圧が高すぎて、腸の細胞が水分を吸収できない
・腸の細胞に異常があり、水分を吸収する役割を果たせない
下痢が止まらなくなる原因
大腸がん
がんの場合、腸がむくんで便が通りにくくなり便秘になることもありますし、水分の吸収が悪くなり下痢になることもあります。
また、大腸がんからの出血が便に混ざりこみ、下痢のように見えているということも考えられます。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍
潰瘍からの出血が便に混ざりこみ、下痢になります。
胃や十二指腸からの出血は、胃酸と反応して黒っぽくなるので、一見血液と分からない場合があります。
産後
自律神経の乱れが起こりやすく、下痢になる方もおられます。
甲状腺の異常
甲状腺はのどの前にある小さい臓器で、ホルモンを放出しています。
ホルモンが出すぎる甲状腺機能亢進症の場合、下痢が起こるとされています。
インフルエンザ、ノロウイルスなど
ウイルスが腸の細胞に感染し、水の再吸収ができなくなり、下痢になることがあります。
糖尿病
自律神経や腸を動かす神経の血流が落ち、下痢と便秘のどちらも起こりえます。
アレルギー
アレルギー反応が起こると血管から水が漏れ出し、腸粘膜がむくんで機能できなくなり、下痢が起こります。
ストレス
自律神経のバランスが乱れることによって、下痢が起こります。
性別、年齢別で違う下痢が止まらなくなる原因
幼児
お腹を冷やしてしまったり、油っこいものの消化能力が低いことによる下痢が起こりやすいです。
高齢者
がんや、糖尿病などによる下痢が起こりやすくなります。
男性
緊張やストレスが胃腸に出やすい方では、慢性的に下痢になる過敏性腸症候群に苦しむ方もおられます。
女性
月経周期に伴う女性ホルモンの変動により、特に月経前や月経中は下痢になりやすくなります。
下痢が止まらない際に注意すべき体調の変化
脱水症状
嘔吐もあると脱水症状が出やすくなります。尿が出ない、意識がもうろうとするといった脱水症状がある場合は、点滴での水分補給が必要です。
強い腹痛、血便
強い腹痛を伴う場合、血液が混じっている場合、海外に行ったことがある場合は赤痢、コレラなど特殊な感染症の可能性もあります。
白っぽい下痢
下痢の色が白っぽい場合、肝臓や胆のうの病気が疑われますので、内科や消化器内科の受診が必要です。
便秘薬で下痢が止まらなくなった場合
便秘薬は「便の浸透圧を上げて水分が再吸収されにくくすることで便を柔らかくする」か、「腸の動きを活発にして便を押し出す」か、というものが主流です。便秘薬の働きが強すぎると、逆に下痢になってしまいます。
便秘薬を内服しなくなれば、薬が体から排出され、下痢は回復します。
止まらない下痢によって引き起こる症状
痔
便はアルカリ性で皮膚や粘膜を刺激し、腸内細菌を含んでいますので、一旦肛門に傷がつくと便の刺激や感染で痔になりやすくなります。
脱水症状
尿が出ない、皮膚の張りが低下し粘膜がカサカサしている、意識がもうろうとしたり頭痛がするといった症状が起こります。
低カリウムやアシドーシス
便に電解質やイオンが失われることで、低カリウムやアシドーシスといった血液異常になることがあります。
カリウムが低くなると手足の先や唇の周りがしびれたり、筋肉に力が入りにくくなります。
下痢がどれくらい続いたら病院へ行くべき?
2週間以上下痢が続く場合、慢性的な下痢と呼ばれます。
2週間以上続く場合は一時的な体調不良とは考えにくく、原因究明と対処が必要ですので受診してください。
トイレから動けない時の正しい過ごし方
吐き気がある場合、洗面器やバケツにビニール袋を装着し、底に新聞紙や古布を敷いたものを用意しておき、排便しながらでも吐けるようにしておきます。吐いたらすぐにビニールの口を縛ることで、ウイルス性の胃腸炎であった場合にもウイルスの拡散、他人への感染を防ぐことができます。
また、下痢便をトイレで流す場合は、蓋を閉じてから水を流すことで、ウイルスが飛び散るのを防ぐことができます。
お腹を下して困る…下痢に関するお悩み相談例
相談1:1歳の息子の下痢が続いています
■ 相談者(29歳/女性)
1歳0カ月の息子が、昨日今日と下痢です。ツーンとする匂いがし、水のような黄色い下痢が、1日3〜4回出ています。
熱はなく機嫌もよく、食欲旺盛です。湿疹もでていません。
明日も下痢が続くようなら、小児科に連れていったほうがいいですか?
■ 医師からの回答
家で観察していただくポイントとしては、以下のような事項があります。
・下痢の色が白色、または赤色になった
・不機嫌かどうか
・発熱または嘔吐がある
・意識がはっきりせず、よく泣く
・6回以上下痢が続く
・おしっこの回数が減った
上記のことをよく観察し、ご心配な点があるようでしたら病院受診をお考えください。
また、腸に負担のかからない白湯や赤ちゃん用のイオン水を飲ませてあげてください。
相談2:食あたりに市販の下痢止めは飲んでいいですか?
■ 相談者(28歳/男性)
家族旅行で観光地のホテル泊まり、夕飯は焼き肉食べ放題で鶏肉、牛肉を主に食べ、それ以外はアイスやスイーツを食べ、満腹一歩手前まで食べ続けました。
途中で腹痛が始まったため、食事を中断してトイレに駆け込んだところ、初めは硬い便が出てそのあと水のようにでました。少し気持ち悪いだけで、熱はありません。食べ過ぎによる食あたりかと心配しています。
もし、食あたりであったら市販の下痢止めは飲んではいけませんか。
■ 薬剤師からの回答
一般的に食あたりのときは下痢止めは飲まない方がいいと言われています。
理由は、下痢どめを飲むと細菌が排出されずにお腹の中にとどまる時間が長くなって、結果的に症状が長く続いてしまう原因になるからです。
ただし10回、20回も下痢をするようであれば脱水の危険もあるので、注意しながら下痢止めを使用することはあります。
相談3:朝から吐き気と下痢で水状態でざぁーっと出ます
■ 相談者(37歳/女性)
朝から吐き気と下痢で水状態でざぁーっと出ます。熱は微熱なんですがあります。
夕方になり仕事もあるので電車へ乗ったところ駅で嘔吐を少ししました。
ここ3週間位咳が止まらないのとも関係あるのでしょうか?風邪の症状なのでしょうか?
■ 医師からの回答
風邪のウイルスがお腹に入って胃腸炎をおこしてしまうと、嘔吐、嘔気、下痢の症状が出ます。
少し前に咳が出ていたということですので、おそらく風邪のウイルスによる胃腸炎ではないかと思われます。
一般的なウイルス性胃腸炎の場合、整腸剤を内服していただくことが多いですが、基本はお腹を安静にすること(消化によいものを食べること)がメインとなります。
緊急で病院を受診する必要はないと思いますが、受診するのでしたら内科でよいです。