乾燥肌の症状

乾燥肌とは、肌の皮脂と水分が不足して潤いがなくなり、肌のバリア機能が低下した状態のことをいいます。バリア機能の低下により、外部刺激に対して肌が無防備な状態であるため、髪の毛や衣類の繊維などによるちょっとした刺激でも大きな刺激となり、かゆみを引き起こします。また、バリア機能が低下することで皮膚の表面に細菌が付着しやすい状態になり、細菌が繁殖して皮膚の内部に入り込み皮膚炎を引き起こすこともあります。細菌だけではなく、花粉やハウスダストといったアレルギーの原因となるアレルゲン物質や化学物質が肌のバリアを破って侵入する可能性もあります。かゆいため掻いてしまうと肌の表面が荒れてしまい、刺激をさらに受けやすい肌になり、かゆみがさらに強くなるといった悪循環を引き起こします。また、肌を掻くことでかゆみの原因となるヒスタミンを誘発する物質が出て、かゆみを増強させることもあります。乾燥肌が悪化すると皮膚がカサカサしたり、粉を吹いたようになり、さらにはひび割れになったり、鱗のような鱗屑が生じます。また、赤みや湿疹を生じる場合もあります。乾燥肌は皮脂が詰まりやすい状態であるため、ニキビの原因にもなります。さらに、乾燥肌は皮脂と水分が少ない状態のため、肌を守るために角質が硬くなりシワができやすくなります。

この乾燥肌の症状は、1年を通して暖房などで一番乾燥が激しい冬に起こる方が多いです。
冬の季節にも、乾燥から肌を守るために、肌に水分と油分をしっかりと与え、積極的に水分含有量を安定させなければなりません。

洋服から露出している部分だけでなく、洋服に隠れている部分の肌も乾燥肌になることも少なくありません。
特に背中やすねなどは、あまり露出がないにも関わらず、乾燥肌になりやすい部分です。
これはこの部分の皮脂の分泌が少ないため、乾燥の時期になると肌トラブルが起こります。
乾燥肌は、体の皮膚の至る所にも起こりうる症状ですので、注意が必要です。

乾燥肌の原因

乾燥肌を気にする女性
乾燥肌は軽い物から重い物までありますが、その原因は共通して肌の潤い成分が足りてない事にあります。肌には潤いを保つために3つの大きな要素が携わっています。乾燥肌は、人間の肌の角質層の水分量が30パーセント以下になり、皮膚内での保湿の機能が上手く働かない状態の事を指します。そのため、水分量が低下してしまった肌は、自然に乾燥していき、痒みや赤み、カサカサなどの症状を引き起こしてしまいます。

1)皮脂
「皮脂」と呼ばれる肌の表面に乗っている脂です。これは皮脂線と呼ばれる部分から分泌され、皮膚膜と呼ばれる物を形成します。水分の蒸発を防ぎ、外部からの刺激を遮断する役割を持っています。皮脂は肌のバランスが狂ってしまうと分泌量が多すぎる、少なすぎると言う状態になってしまいがちです。少ないと外部の刺激が肌に直接あたってしまい、さらに水分も出て行ってしまうので乾燥肌になり易くなります。多いと肌がべたべたしてしまい非常に気になります。肌の奥にある皮脂腺から分泌されるもので、皮膚膜を作る事で水分が蒸発するのを防ぐ成分です。

2)細胞間脂質
角質と呼ばれる層の細胞と細胞の間にある脂を指します。皮脂と違いこちらは水分を留める役割をします。また、細胞間脂質の中に浮いている天然保湿因子を安定させる役割も持っています。セラミド、コレステロール等からできており、食事に大きく左右される面が大きいです。セラミドは代表的です。

3)天然保湿因子(NMF)
アミノ酸、ミネラル等の水分を保持できる物質を指します。特にアミノ酸は約半分を占めており、不足すると大きく肌に影響を与えます。アミノ酸やミネラルなど、水分が保持できる様に保つ物質です。

これらの3つの要因が上手く保たれ、きちんと機能を果たすことで肌の潤いは保たれます。しかし、加齢などの原因で減ってしまうと、3つの要因で行われていた肌が生まれ変わり、新しい角質層を作り出すターンオーバーという働きが乱れ、角質層の水分が減少してしまいます。加齢だけでなく肌の洗浄のしすぎも原因になってしまうことが多くあります。肌を綺麗な状態にしようと何度も洗うことで必要な成分まで流れてしまうのです。その結果、乾燥肌に繋がります。肌を乾燥させないためには元々体の中に存在している保湿成分をしっかり守ることが重要です。不足し易い成分は化粧品で補える物が多くあるので、外から整えることにより改善が期待できます。

乾燥肌を悪化させないためには、少しでも肌の異常に早く気付き、肌の水分含有量を保つための手助けをしなければなりません。

●男性の乾燥肌の原因
スキンケアを気にする男性
男性の感想肌の原因は、スキンケア不足です。洗顔後、化粧水だけを軽くつけるだけではいけません。化粧水は蒸発しますので、きちんと乳液やクリームで肌にふたをし、化粧水を肌に閉じ込めることが大切です。また、剃刀を使うたびに肌は傷つき乾燥します。なぜなら、剃刀をあてる度に角質層まで一緒に削ってしまうからです。少しでも肌への負担を減らすためには、切れ味の良い剃刀を使い、優しく肌を滑らせるようにしましょう。あわせて、低刺激なノンアルコールのシェービングフォームなどを使うことが大切です。

●乾燥肌の原因が病気の場合
1年中肌が乾燥してかゆみがある場合は、病気である可能性があります。病気が疑われる場合は、専門の医師に相談しましょう。
・アトピー性皮膚炎
激しい肌の乾燥によりかゆみが常に発生し。皮膚をかくことで肌が厚くなり、症状が進むと色素沈着を起こし肌が黒ずむこともあります。
・甲状腺機能低下症
甲状腺の機能が低下することにより甲状腺のホルモンが不足して、発症します。肌の乾燥が激しくなり、かゆみがとまらなくなるだけではなく、身体の代謝が悪くなり、睡眠や記憶障害、精神機能の低下、抜け毛など重度の症状に悩まされます。

●春に肌が乾燥する理由
ストレスを感じる女性
春に肌が乾燥するのには、さまざまな理由がありますが、主な原因としてはストレスと紫外線です。
・ストレス
春は周りの環境が変わることで、知らずにストレスを感じ、そのために起こる血流不良が肌の乾燥を引き起こします。ストレスは自律神経に作用し、緊張による交感神経が優位になります。そのため末端まで血液が行き渡りにくくなり、結果、肌に栄養が十分に行き渡らず代謝が低下し、肌がゴワゴワして水分が肌に入りにくくなり、乾燥しやすくなります。
・紫外線
春に強くなる紫外線は、メラニン細胞を刺激してシミなどを引き起こすほかに、紫外線から守ろうとして角層が厚くなる肌の働きを起こします。そして血行が悪くなり、肌のターンオーバーがうまくいかないことで肌が乾燥し、紫外線の影響によるターンオーバーの崩れが起こって、さらに乾燥が進みます。

乾燥肌の予防/治療法

保湿する女性
●間違ったスキンケアをしない
化粧水をつけてそのままはNGです。皮膚の表面の水が蒸発することが乾燥につながります。化粧水をつけるなら、水分が逃げない様にクリームなどを塗りましょう。 また、お風呂上がりのふきのこしに気を付けましょう。
また、最近は洗浄効果の強い洗顔剤やクレンジング剤が増えていますが、皮脂膜や細胞間脂質、天然保湿成分などを洗い流してしまうので、洗い過ぎは避けましょう。

●体の乾燥を改善オススメケア法
体の乾燥をケアするのは、入浴中・入浴後が良いでしょう。入浴中は、湯船を保湿成分のある入浴剤を入れてリラックスしましょう。ただし、硫黄成分のある入浴剤は肌の乾燥を促す可能性があるため気を付けましょう。そして、体を洗うときはスポンジやタオルでゴシゴシこすらずに、手で優しく泡を使って洗うようにします。お風呂上りには、体の水分が失われないうちに、ローションやクリームを塗りましょう。また、敏感になってしまった肌の場合は、ベビー用のローションと乳液が低刺激で肌に刺激が少ないのでおすすめです。

●乾燥による肌のかゆみ
乾燥によるかゆみへの対処法は、まずかいてしまうことを抑えることです。かゆみは、体温が上がるとより強く感じるため、かゆみを感じる部分を冷やしたタオルで冷やすと一時的に収まります。日常でのお手入れでは、洗浄力の強すぎない、洗顔料やクレンジングを選ぶようにしましょう。クレンジングはオイルよりもミルクやクリームタイプのものが肌に負担をかけないため、刺激が少ないです。

●1日の洗顔回数
洗顔する女性
1日に洗顔を行う回数は、肌質やその日の肌の状態、季節によって異なりますが、基本的には朝と夜の2回だといわれています。洗顔料の使い過ぎは、逆に肌を傷つけることになり、乾燥肌やニキビなどの肌トラブルの原因になることがあります。朝の汚れは水での洗顔でも十分に落とすという考え方もあります。しかし、人は、寝ている間にコップ1杯分の汗をかき、皮脂が混ざり皮脂膜ができます。とりすぎてしまうのはよくないのですが、古くなった皮脂汚れも残っていてもいけません。皮脂汚れは変性皮脂となり、肌のバリア機能や保水力を低下させます。変性皮脂は、洗顔料を使わなければ落ちません。肌の油が多い人は毎朝、洗顔料を使うべきですが、油分少なめの乾燥肌の人はかえって肌のバリア機能を低下させる場合もあるので、自分の肌の種類はしっかり把握しましょう。また、顔がテカってどうしても1日にもっと洗顔したいというかたは、水だけの洗顔回数を増やすことがおすすめです。洗いすぎないということが肌トラブルの改善につながることになることもあります。

●バランスの良い食事を心がける
お肌に大事な栄養素をしっかりと食事から摂ることです。
偏った食生活は、乾燥肌だけでなく、体の病気にもつながってしまいます。
そのためにも毎日3食栄養バランスの摂れた食事を摂るようにするといいです。

●運動や十分な睡眠
そして人間の体に必要とされている適度な運動や十分な睡眠なども肌に関係しています。規則正しい生活を送る事で、肌は自然に強くなり、適度な潤いを保った肌を作っていくことができます。

●ストレス
ストレスなども肌に関係していますので、注意が必要です。

●湿度を高く保つ
乾燥がひどい時期には、加湿器などを利用し、部屋の湿度を高める事で乾燥肌の予防をすることが出来ます。
毎日の生活を整え、一定の湿度を保った場所で生活をすることを心がけてるといいです。

●化粧のりが悪い時の対処法
化粧のりが悪い時の対処法はいくつかあります。
・血行:肌の血行を良くすることを心がけましょう。血行が促されると肌のトーンが明るくなり、化粧のりも良くなります。朝の洗顔後に化粧水と乳液を塗ってから、顔の中心から外側に向かって指の腹でやさしくマッサージします。夜もゆっくり入浴した後に、顔の中心から外側へ、そして耳の下側までリンパマッサージを行い、血行を促進します。
・保湿:肌を保湿することを日頃から心がけることも大切です。化粧水やローションつけるだけではなく、乳液やクリームで蓋をして保湿成分を逃さないようにします。
・その他:普段の食事をバランスの良いものを摂るようにして、からだの内側から美しい肌に整えることや、定期的に肌の産毛を処理することも化粧ののりを良くすることにつながります。

<<乾燥肌と食べ物の関係?乾燥肌に良い食べ物&悪化させる食べ物>>
オリーブオイル
偏った食事を続け、栄養が不足すると代謝や腸内環境の悪化へ繋がります。代謝が悪化すると、肌表面をバリアしている皮膚の分泌が減ってしまうため、乾燥しやすくなり、腸内環境が悪化すると体内をめぐる血液が汚れてしまい、汚れや悪いものを肌から外へ出そうとし、その汚れ、悪いものが肌表面にあらわれて、肌の乾燥や荒れなどにつながっております。肌表面のケアももちろん大切ですが、体の内側の乱れを整えるだけでも乾燥肌に効果的だと思われます。

・ カフェインを多く含み利尿を促すコーヒー、塩分・脂分が多く体の代謝が悪くなるファーストフード・スナック菓子、体を冷やし血行が悪くなる冷たい飲み物、アイスクリームなど、糖分は多く腸内の悪玉菌が増えて腸内環境を悪化させる甘いお菓子、ジュースなどは肌を乾燥させてしまい、肌環境に悪いと言われております。

・ 乾燥肌に良い影響のある食べ物はビタミンやたんぱく質が豊富な食べ物が有効です。例えば、卵やアボカド、パプリカ、モロヘイヤ、納豆、いわし、はちみつなどには有効な成分が多く含まれているので、積極的に摂取すると体内環境から見直ししていくことができます。

・サラダなど体が冷えやすい食べ物は、症状を悪化させる可能性がありますので、乾燥がきになる間は控えたほうがいいでしょう。

・鍋や味噌汁には、ビタミンが豊富な野菜、タンパク質となる豆腐や魚を入れることができ、保温性も高まります。乾燥肌の症状を和らげたいなら、具だくさんの鍋や味噌汁が適しています。また、卵にはタンパク質、ビタミンが含まれていますので、定期的に食べられるといいででょう。

・オリーブオイルやエゴマ油など、良質な油分を摂取することは乾燥肌の対策になります。オリーブオイルを使って玉子焼きや目玉焼きを作るなど、調理方法を工夫しましょう。

・乾燥肌の改善・予防に効果的な飲み物もあります。まず、フルーツジュースのようなビタミン類が豊富な飲み物は、効果的です。ビタミンは抗酸化力が高いので、乾燥肌の原因の1つである活性酸素を減少させる効果が期待できます。フルーツジュースは加工したものより、搾りたてのジュースの方がビタミン類を多くとれるのでより効果的です。また、ショウガ湯やハーブティーは体を温めて、血流を良くする効果が期待できます。青汁や豆乳も乾燥肌にも効果的な飲み物の1つです。一度に大量に摂取すると体調を崩す危険性があるので、水分の摂取はこまめに行いましょう。

※ 悪化させるものは摂取してはいけないのではなく、摂りすぎを注意し、乾燥肌の改善へと繋げていきましょう。

<<保湿だけでは治らない乾燥肌>>
乾燥肌のなかには、保湿剤だけでは治りにくいタイプのものがあります。乾燥肌とは皮膚のバリア機能が落ちて、角質層のきめが崩れ肌の柔軟性が低下してしまっている状態のことですが、皮膚が乾燥した状態が続くと、表面だけではなく皮膚の奥まで細菌や埃などの異物が外部から侵入してしまう原因になります。そのため、皮膚の一番下にある基底層では異物を外へ押し出そうとして、細胞分裂を加速させてしまいます。これは皮膚のターンオーバーと呼ばれていますが、保湿剤がなかなか効きにくいタイプの乾燥肌の人では、皮膚のターンオーバーが異常に早くなっていて、細胞の形が整わないまま、どんどんと新しい組織が作られていきます。その結果、皮膚の表面には形もばらばらで大きさも不揃いな目の粗い細胞が並んでしまうことになるのです。
皮膚がこのように荒れた状態になってしまうと、保湿剤を塗るだけでは効果が表れにくくなります。ターンオーバーが加速している肌では、医療現場でも使われているヘパリン類似物質など、肌の奥の部分まで浸透する薬を使う必要があります。ヘパリン類似物質は、肌表面ではなく、皮膚の基底層まで到達してバリア機能を回復し、きめの整った肌を作り出せるようにします。ヘパリン類似物質は刺激が少ないので、体のどの部分にでも使うことができ、子どもからお年寄りまで使用することができます。