脳梗塞や脳卒中、くも膜下出血などの病気は非常に身近にあるものです。日本人の死亡原因としても大変多く、命が助かったとしても言語障害や身体の麻痺、痴呆などの後遺症は軽いものではありません。これらの病気は発症する前に未然に防ぐことが重要です。その方法の一つが脳ドックです。 症状が見られないまま進行する脳の病気を発見する脳ドックでは、脳の血管がふさがっているのに、脳梗塞の症状が見られない無症候群脳梗塞、発生部位によっては大きくなっても症状が現れない脳腫瘍、血腫と呼ばれる血の塊が脳の中にでき、周囲の組織を圧迫し、破裂して脳の機能に障害を起こす脳出血、破裂する前の脳動脈にできているコブ・未破裂脳動脈瘤、生まれつき動脈と静脈の一部がつながっている脳動静脈奇形、脳内に細い動脈が無数にできてしまうもやもや病などの発見が可能です。
脳の病気が発症するのは、脳の血管が細くなっていたり、詰まったり、血液がドロドロになっていたりすることが原因です。脳ドックではそういった脳の血管を見たり、脳の中の構造を見たりする検査を行います。それらは主にMRIやMRAによる画像診断です。 MRIは縦、横、斜めといったあらゆる方向から脳の断面画像を写す検査です。MRAは血管を立体画像として映し出す検査で、血流が細くなっている血管や、動脈瘤を発見することが可能です。さらに、微細な血管構造を見ることができるマルチスライスCT、脳血管の動脈硬化や閉塞、狭窄などが分かる超音波検査、痴呆や脳腫瘍、てんかんなどの発見に役立つ脳波測定などのほか、脈を検査する心電図、血圧測定、尿検査、血液検査、眼底検査などを行います。 家族にくも膜下出血を発症している人や激しい頭痛などがある人は、40歳になったら脳ドックを受けるといいでしょう。また、脂質異常症や糖尿病、高血圧症、肥満、痛風などの疾患のある人は動脈硬化を起こしやすいとされています。それらの疾患を持っている人は、1年に1度を目安に定期的に脳ドックを受けることをお勧めします。