熱中症ねっちゅうしょう

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外傷
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医師監修

熱中症とは

熱中症は屋内外で高温環境において、身体が適応できなくなり起きる症状です。
重症度に応じてⅠ度からⅢ度までに分類されます。
めまいや頭痛、失神、体温の異常な上昇や発汗量の変化(異常な発汗や発汗の停止の場合もあります)などが代表的な症状といえるでしょう。深刻な症状の場合は命にも関わってしまいます。

熱中症の原因


外的要因


人間の体は、身体内で熱を作り出す働きと、皮膚の下に通っている血管を広げて血流を多くすることで熱を発散させる働きや、汗をかいてその気化熱で体温を下げるようなシステムを持っており、この両方の働きをバランス良く行っています。

しかし、高温多湿の環境で与えられる熱が多すぎると、両方の働きのバランスが崩れます。逃がさないといけない熱が多すぎて、皮膚への血流が多くなり、脳に血液が行かなくなり熱中症を起こします。

また、汗をかく体内の水分や塩分が失われる量に対して、水分摂取が足りていないことでも脱水を起こし、熱中症を発症します。

身体的要因


水分を含んでいる細胞内液にはカリウムと少量の塩素が含まれていて、細胞外液にはナトリウムと塩素が含まれています。

カリウムとナトリウムのバランスを崩すとカリウム不足となり、夏バテのような脱力感や無気力やだるさなどの症状が起きてしまいます。

貧血を起こしてしまうのは鉄不足だけでなく、赤血球の合成を促す働きのある葉酸があまり摂取できていないことも考えられます。このように、「身体的要因」が熱中症を引き起こすこともあります。

熱中症の種類とメカニズム


(出典:日本救急医学会


熱中症の種類と重症度


























重症度 種類 症状
軽度 熱失神・熱痙攣 立ちくらみ、こむら返り、筋肉痛
中等度 熱疲労 頭痛、吐き気、下痢、失神
重度 熱射病 意識障害、痙攣、過呼吸、高体温、多臓器不全



種類とメカニズム

























種類 メカニズム
熱失神 気温の上昇に伴い、皮膚血管が広がり血圧が低下します。それにより脳の血流が悪くなり起こります
熱痙攣 大量の汗をかいたのに、塩分を含んでいない水だけの補給で血液中のナトリウム濃度が急激に低下して、熱痙攣を引き起こします
熱疲労 水分補給が追いつかないほど大量に汗をかいて、水分と塩分が不足することで引き起こります
熱射病 高温多湿な環境下にいると、体温が急激に上がります。それが中枢機能に大きく影響を与えることによって熱射病を起こします


厚生労働省 大阪労働局

熱中症にかかりやすい時期

7月、8月


真夏日
7月、8月は近年の異常気象により真夏日が多発し、最高気温が30度越えが多発するため熱中症になりやすい時期と言えます。各医療機関や情報機関を通して熱中症対策を呼びかけていますので、該当する日にはしっかりと対策をしましょう。

6月、9月


梅雨
梅雨の晴れ間などに急に高温になったときは危険です。人間の体は「暑熱順化」といって、高温が続くことで体が次第に暑さに慣れてきます。だんだんと熱くなる6月や、涼しくなる9月の時期はまだ体が慣れておらず、上手に汗を出すことができない場合が多いのです。

熱中症の症状

主な症状


熱中症の症状と対処方法の図

  1. めまい・立ちくらみ
    汗をかくことで脱水になり、脳への血流が十分保たれなくなるためめまい立ちくらみを発症します。


  2. 頭痛
    めまい・立ちくらみ同様、脳への血流が十分保たれなくなり頭痛を発症します。


  3. 吐き気・嘔吐
    汗によりミネラルや電解質が失われたことによって吐き気や嘔吐が起こります。


  4. 筋肉痛・筋肉の痙攣
    吐き気や嘔吐と同様、汗によりミネラルや電解質が失われたことによって筋肉痛や筋肉の痙攣が起こります。


  5. 汗が異常に出る
    体温が上がった場合に、血管を広げ汗をかくことで体温を下げようとするために起こります。


  6. 汗が出ない・体温が高い
    脱水や電解質不足から体温調整機能が異常になり、汗をかいて体温を下げようという働きが失われている状態で、体温は40度を超えることがあります。


  7. 下痢
    熱中症の際、水分のみを補充した場合、体の塩分やミネラルの濃度が著しく低くなると、通常の濃度に戻そうと水分を体外に出そうとし、下痢がおこります。熱中症で下痢が現れた際は命の危険があるため、ただちに病院に行くようにしてください。


  8. 寒気
    熱中症のため、脳の機能がダメージを受けて、体温を誤認してしまうことから寒気を感じることがあります。寒気を感じた場合にそのまま放置すると悪化してしまうので、すぐに対処しましょう。

熱中症に注意が必要な人

赤ちゃん


夏場の赤ちゃん


熱中症になりやすい原因



  • 自分で体温調整できない

  • 体内に熱がこもりやすい





■ 症状
・顔の皮膚が赤みを帯びていて熱い
・元気がなく機嫌が悪い
・いつもより母乳やミルクや麦茶などを飲みたがる

上記のようなことが見られると熱中症の初期症状の可能性があります。顔色が悪くなったり、唇が乾いている、呼びかけても反応しないといった場合は危険な状態のため医療機関に受診しましょう。

■ 対策
水分補給をさせてたり、衣服や室温の調整、保冷剤で体を冷やしてあげるなどして熱中症を未然に防ぎましょう。

妊婦


妊婦


熱中症になりやすい原因



  • 体温が高い

  • 汗をかきやすい

  • 体温調整を行う脳の部位が働きずらい

  • 血液量や濃度が変化する




熱中症で意識を失って転倒し、お腹を打ったりする可能性もありますので、室内でも水分補給や温度調整により一層の注意が必要です。

高齢者


水分補給する高齢者


熱中症になりやすい原因



  • 全身病に罹っていることがある

  • 一人暮らしの高齢者が高温に対策をとれない

  • 高温の中作業することが多い

  • 能力が低下し熱を対処しきれない

  • 成人より体の水分が少ない

  • 喉の渇きが感じづらい

  • トイレが近くなることを恐れて水分補給を避ける




室内の空調管理や水分補給をしっかり行い、症状が出た時は早めに医療機関を受診しましょう。

■ 古典的熱中症
外部から入ってくる熱が主な原因で、心臓病や腎臓病を始めとする全身病に罹っている人の発症頻度が高くなる事から、高齢者の発症頻度が高い熱中症です。

一人住まいの高齢者が起こすケースが多かったりと、いわゆる気温が高い日に発生する熱波に対する対策が取れない事も、高齢者の古典的熱中症の発症率を上げている要因と言えます。

■ 労作性熱中症
高温の日の下でスポーツや作業などをしていて、体内で発生する熱が原因の熱中症です。

50代では働いている人の割合が高いため、高齢者の発症確立が高くなっています。

室内で運動をする人


室内で運動する人


熱中症になりやすい原因



  • 汗をかきずらい

  • 喉の渇きを感じるのに時間がかかる

  • 体温の上昇を感じるに時間がかかる




外で運動する人よりもよりいっそう自分自身の体調に気を付けながら、喉が乾かなくても水分を補給したり、適度に休憩をとるなどの配慮が必要になります。

汗をかきずらい人


汗をかきずらい人


熱中症になりやすい原因



  • 体の熱を体外へ放出することが苦手

  • 体温に熱がこもりやすい

  • 体温の上昇しやすい





■ 汗をかきずらくなるメカニズム
外の湿度が高く、皮膚の表面の湿度が上がると、体が皮膚の渇きを感知しずらくなり、汗をかきづらくなります。

体温を下げる働きをする汗が機能しないと、体温が上がり、熱中症になってしまうので注意が必要です。

熱中症の応急処置



  1. 涼しい場所に移動し、服を緩める

    温度計を持つ手■ 涼しい場所に移動する
    熱波により軽い失神を起こしているという可能性もありますので、足を頭より高くしたまま身体を横たえると良いでしょう(脳に血が回っていない状態なので足を高くします)。

    ■ 服を緩める
    救護室などがあれば全て脱がせた方が良いのですが、人目がある場所でしたら、襟元やベルト、そしてネクタイなどをゆるめるだけでも大分違います。身体全体の血流と良くすると共に、衣服間の風通しを良くしてあげましょう。




  2. 水分を補給する

    温度計を持つ手■ 塩分の入った飲み物で水分補給
    熱中症の症状が出始めた際には、大量の汗をかく場合が多いので、スポーツドリンクや塩分の入った飲み物を摂取すると良いでしょう。

    ■ 水だけを飲む危険性
    血液濃度が薄まっている状態なので、水だけだと余計に血液が薄まってしまい、けいれんを起こしてしまう可能性があります。

    ただし、既に意識が朦朧としている場合などは誤嚥をしてしまう恐れがありますので、すぐに救急車を呼んだ方が良いでしょう。



  3. 身体を冷やす

    温度計を持つ手凍らせたペットボトル、保冷剤をタオルでくるんだもの、水に浸したタオル、中に氷を入れた氷嚢(ひょうのう)などで、以下の大きな血管が体表近くを通っている部分を冷やしていきます。

    ・首の横側
    ・わきの下
    ・足の付け根
    ・ひざの裏

    など




応急処置の注意点



■ 頭痛薬はなるべく避ける
頭痛が熱中症の症状として見られたら、頭痛薬に頼るのはなるべくやめましょう。熱中症の頭痛は、体温が上昇したために起こる頭部の血管の拡張が原因です。

この事から、頭痛薬を服用しても効果はほとんどありませんし、薬の刺激によって吐き気や嘔吐などが起こり、逆に危険な状態になりかねません。

頭痛が自覚症状としてあらわれるのは、熱中症の症状が進んだサインなので、頭痛薬を飲むことはあくまでも一時しのぎです。水分とミネラル補給をしたり、体を冷やしたり、安静にするなど、熱中症の治療を適切に行うことが重要です。

熱中症の治療法

病院に行くべき症状


病院
熱中症は最悪の場合、命が危険な状態になります。
下記などの症状がでた場合や症状が重たい場合は、すぐに医師に診てもらうようにしましょう。

■ 意識がはっきりしない
■ 水分を摂ることができない
■ 休んでもよくならない


病院での治療


■ 点滴
点滴
水分と電解質(主に汗とともに失われたナトリウム)を補給します。水分を細胞内に入れるために必要なブドウ糖も含まれていますが、カロリー補給が目的ではないため、量はわずかです。

冷たい点滴液を血管に入れることで、効率よく全身を冷やし体温を下げる効果もあります。

熱中症の予防法

水分補給



  • こまめな水分と適度な塩分を補給する

  • 睡眠環境を整える

  • 日差しをさける

  • 室内でも気温と湿度を測る

  • 涼しい服装をする

  • 無理をせずに体を暑さに慣らしていく

  • 暑いときは、冷却用のシートや氷枕などを使う

  • 水分や塩分の補給とこまめな休憩をとる




屋外での運動だけでなく、空調設備の整っていない屋内での作業も、暑さから身を守ることが予防になります。

スポーツをする時の注意点


ランニング
熱中症の予防には、温度や湿度といった環境に気を付けることが大切です。スポーツをするときには熱中症にならないように時間と場所を選ぶようにしましょう。
  
■ 室内の場合
熱気や湿度が室内にこもらないように工夫をします。室内にいても水分補給をこまめに行うようにしましょう。水分は経口補水液のような食塩と糖質を含んだものが一層効果的です。

■ 屋外の場合
熱中症予防のためには、直射日光を急に浴びないようにしましょう。少しずつ暑さに体を慣らすようにしたり、衣服や帽子の選び方にも工夫が必要です。
通気性のよい服を着るようにし、体から熱を逃がすようにしましょう。具体が悪くなったら早めに対処することも予防につながります。

熱中症予防に効果的な飲み物

牛乳

 
牛乳
牛乳は体内の血液量を増やす役割を果たしますので、結果的に暑さに耐えられる身体を作ることになると考えられています。軽く運動をした後が最も吸収が良いとされています。

麦茶

 
麦茶
ミネラルは人間の体内では作ることが出来ませんので、外から取りいれなくてはいけません。ミネラルが豊富で熱中症対策には最適です。

スポーツドリンク

 
スポーツドリンク
スポーツドリンクはナトリウム量が多く、人間の血液に含まれるナトリウム濃度と同じくらいですので、熱中症対策の飲み物としては効果的と言えます。運動の後に飲むと、より効果的に摂取することができるでしょう。

お手製ドリンク


レモンドリンク
水に、レモンの絞り汁と塩、そして砂糖を加えるだけで簡単に作ることが出来ます。汗と似たような成分を外から取りいれることによって、減少してしまいがちな水分と栄養分を摂ることができるのです。濃さは体調によって変えてみても良いでしょう。

熱中症に効果的な水分補給法

水分補給する少年

水分補給はこまめにする


10〜15分おきにこまめに飲むことが重要です。一気に大量に飲んでしまうと、胃腸に負担がかかり体力を消費してしまうので注意が必要です。

飲料は冷やしすぎない


冷えている飲料も胃腸には大きな負担になってしまいます。暑い日には冷たいものを摂取したくなりますが、冷やしすぎには注意しましょう。

塩分も一緒に補給


汗をかくと、水分と同時に塩分も失われます。スポーツドリンクや経口補水液には塩分が含まれていますが、緑茶やミネラルウォーターは水分のみの補給になってしまいます。

熱中症予防として飲む際は、塩分が含まれている飴を舐めたり、梅干しを食べたりすることを心がけましょう。
水分補給と同時に、塩分も摂取することがより効果的な熱中症の予防に繋がります。
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