打撲(打ち身)の原因

打撲は転倒や衝突の際に、皮下の軟部組織が強いダメージを受けることにより発生します。

日常生活における打撲


家具や柱などに頭部や体をぶつけるといった出来事や、自転車運転中の転倒といった事故などで起こります。暴力による打撲もみられます。

高齢者はバランスを崩しやすく転倒や転落のリスクが高いため注意が必要です。

スポーツによる打撲


特にサッカーやラグビー、格闘技などのコンタクトスポーツでは打撲の発生率が高まります。

打撲(打ち身)の対処法

打撲直後は「RICE処置」


【動画】打撲の応急処置:RICE処置


Rest(安静にする)
血管や神経を傷つけることを防ぐためです。過剰に患部を動かすと、腫れが悪化する恐れがあります。

Ice(冷却する)
傷ついた血管などをギュッと縮めて出血を減らし、腫れを最小限にします。

患部を直接、タオルでくるんだ保冷剤などで15分程度冷やしてください。15分というのは、冷却によって患部の感覚がかなり鈍ってくるほどの時間です。

このあたりの感覚で、一度冷却をやめてください。そして、しばらくすると痛みが出てきたら、同じように冷却してください。この冷却は打撲してから、3日目(72時間後)まで行ってください。

患部に湿布を張るだけでは、深い部位への冷却効果はありません。湿布は皮膚の浅い部位の冷却と炎症鎮痛が目的です。

Compression(圧迫する)
圧迫は患部の腫れを最小限にするための処置です。包帯やテーピングなどで患部を中心として、腫れのない正常部分までを圧迫します。ただし、強すぎる圧迫は、抹消への血流を悪くするため注意してください。

Elevation(挙上)
腫れが広がることを防止するために、患部を心臓より高い位置に上げてキープします。

このRICE処置を行うことで患部の腫れやむくみ、内出血を抑えることができます。ただし、骨折の疑いがある場合もあるため、安易に判断せずに、医師の診察を受けるようにしましょう。

打撲の数日後からは温める


打撲後、3日ほど経過して腫れや熱感が引いてきたら、冷やすのではなく温めるようにしましょう。血行を良くすることで、組織の修復に必要な酸素や栄養がよりスムーズに運ばれ、治りも早くなります。ゆっくり入浴し、患部にカイロやホットタオルなどを当てて温めましょう。

目を打撲した場合


目を打撲した場合は、見えにくくないか、両目で見ても二重に見えないか確認しましょう。見え方がおかしい場合は受診してください。

頭を打撲した場合


頭を強くぶつけた時は、脳に強いダメージを起こす場合があります。意識障害があれば、すぐに病院に連れて行ってください。意識障害がない場合は、頭痛や吐き気の症状が強くなければ、患部を冷やしながら1~2日程度は様子をみておきましょう。

打撲直後は意識に問題がないにも関わらず、10分~数時間あとに、意識状態の悪化、嘔吐を繰り返す、手足が上手く動かせない、うまくしゃべれないなどの症状が起こるときがあります。この場合、頭蓋内で少量の出血がジワジワと出続けている可能性が高く、危険な状態です。すぐに脳神経外科への受診をしてください。

打撲(打ち身)の予防

打撲を引き起こす原因には、転倒などがあります。転倒による事故の予防には、普段から足腰の筋肉の働きを高める運動が有効になります。

また、寒さや疲労、運動不足などは全身の血流の巡りを悪くします。筋肉だけでなく、各組織への必要な養分が届きにくく、体の虚弱化を招きます。日頃から適度な運動やストレッチで全身の血流をよくして新陳代謝を上げることが予防になります。